日本財団 図書館


石油がどうなっていくんだろう、金融がどうなっていくんだろうということは確かに重要で、マクロ派にとっては統計も影絵ながら存在する。論理もそのとき事情が変更すれば間違うかもしれないけど、その時その時はわかる。

これに対してミクロというのは、何か財界人と称するおじさんがお話しするような、あるいは企業に行って細かい数字を聞いてそれを積み上げて書かなければならないような、全く費用対効果において損な状況にあるものですから、なかなかやりたがらない。蔑んだような顔をして、嵐が過ぎ去ることを待っているような人もいたりするという状況が長い間続いたことは事実です。

それは、経済記事の残念なところですよね、一番。本当は、民間の自由な経済活動が、どうなっているのかということをちゃんと書いていかなけばいけないし、基本的にはその利益の総体が国の利益なんだし、国の力なんだし、それによって税金がどうなるかという、一般の企業から離れても国民生活に関係するのに、その実は発端であるところの企業活動、民間活動について、どうも技術的に扱えないもんだから、書いてこなかった、力が入ってこなかったという現実はあると思います。

これは資料論からいきますと、当然年に2回発表される決算内容を何とかよすがにして書かざるを得ない。さすがにそれは間違いが少ないかもしれないが。

本当のところをいくと、このミクロの扱いというものをどうやっていくのかということが、研究所であれば研究体制、マスコミであれば取材体制の実はすべてを決するものだと思います。マスコミはマスコミで勝手に苦労すればいいわけですけど。特に研究所と名のついているところは、この点をどういうふうに取り扱っていくかということをわかった上で議論し、また体制をつくっていくということが非常に重要だと思います。

決算発表を全部出すなんてことも、比較的早めにしてくれているのは和光経済研究所とか、そういうところがありますが、あれに対して、経済研究機関がどの程度ビリビリ反応しているかというと、反応してないんですよね。

だけど、ミクロを忘れると必ずミクロに復讐されます。つまりその論文が一体何の話しをしているのかなと、やはり抽象論なのかということになって、よかったねというのを抑えていくのはやはり企業活動に対する本当の目なんですよね。

僕も合計してみるとたまたまミクロ色がちょっとほかより強いもんですから、そう言われることがあって。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION