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あれはそんなに難しいものではないのを、片や知らん顔して台風がくるみたいな原稿を書いている新聞と、しばらく経って秘密はこうだみたいなことで書いている単行本があるんですね。その間を縮めるものというのは何もない。2、3日経ってから書いてくれれば大体書けると思うし、さすがに日経さんのコラムがなるほどだなって思うのを出してくるんだけど、最初に書いて欲しいなと思います。これだけアメリカは得をしたんだとか、日本はこれだけ負けてしまったとか、というふうに物を書いてくれればわかるのに、そういう形で出てこない。しかも重要でないんだったらそれでいいんですけど、大変重要なものがほとんどわからないですよね。僕もわからないなと思うんだから、多分経済社会に最初に入ってきた人は全くわからないはずですよ。

少し統計に近いような話をしますと、国際会議については、みんな必死になってキーワードを探します。何だか知らないけどここに変なこと書き加えられているねというその言葉を、経済部に集まっている、どちらかというと英語のできる人と経験のある人が、「この言葉だよ、これは」と言って、今度それを打ち返して、会見でなるほどそうだなとか、それから日本の大蔵省に行って「こう言う話だよね」と言うと、「うん、そうだよ」。

要するにこれは円高についても同じことなんだ。円高については気にしてないと書いてあるんだよ。負けてしまったんだよ。ということは、今度は会見では、何かとぼけたことを言って終わってしまう。一応新聞記者と財務官との信頼関係というのは、ミスリードだけはするな、嘘の話だけはするなよ、という話で記事が形成されていく。みんな何をやっているかというと、関係のない国の大蔵大臣がポロッと話すというのをひたすら待っているんですね。イタリア、カナダ、大体イタリアですよ。本当にG7の参加国の中で、言われるような人の談話が、通信社電で、そこまで我々力がないもんですから、通信社電で入ってくる。「これだぜ、本当の話は」。円については何も語られなかった。

これはG7という日本にとってはドルを補完している円の国においては重要なことです。で、書いてある記事は、台風が近づいてくるみたいなことであって、でも本当はそうじゃなくて、この人たちがそういうことを納得ずくで話し合って、負けて帰ってきたのだと。ポーツマス条約かなんかの比較から、戦争こそしていない、戦争していたら、血であがなったものは暴動が起きますが、日常の営々たる活動でできてしまって強くなったけど損してしまうみたいな、円高放置されても暴動は起きない。

 

 

 

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