インフラも全然ない。ですから、羅津先峰が成功するためには、例えば、中国の吉林省がそれに対して十分な資金を提供して成功させなければいけない。中国側では、北朝鮮との国境のところまでは道路は舗装されている。ところが、峰を越えて行かなければいけない。北側でどろ道になってしまっている。しかも、非常に道が悪い。だから、年に4か月は通れない状態になっている。羅津港それ自体が、いろいろとリハビリが必要である。中国政府としては、この羅津に詰め替え港をつくるといいだろうということで、その開発に資金を提供することはあり得る。しかし、より広い意味での経済的な発展というのは、まず考えられません。
そこで、この関与の対応の問題だと思います。韓国の立場からいって、あるいは、他の国で、全体的に北朝鮮の改革を期待する国としては、1つのいいものとよくないものを言いましょう。一番下になるのが、金剛山のプロジェクトです。これがいわば小切手を切って北朝鮮に渡すのに、一番近い形態のものです。完全に北朝鮮の他の地域からは垣根で囲ってしまっている。観光客が非常にコントロールされた状況の中で、その区切ったところに連れていかれるわけです。経済特区について言えば、羅津先峰よりも孤立していないようなところで経済特区をやるというほうがいいでしょう。現在、現代が北朝鮮と交渉しています。海州地区にこれをやりたいと考えている。経済的には合理的な場所です。
北朝鮮はこれまた非常に孤立した新義州という、中国国境に近いところにもってきたい。しかし、それは経済的には合理性がありません。どこでこの現代との話が終わるのか、どこに工業団地ができるのか。それが北朝鮮の人々の考え方をあらわすことになると思います。
明らかに一番いい経済的な関与の形態は、韓国あるいはその他の国々の企業の北朝鮮への自由な投資です。それを通して、市場経済に関して北朝鮮は勉強できる。そして、現地のいろいろな管轄区の間で競争する。そして、外資を誘致することにしなければいけない。そのためには、インフラを整備しなければいけないという話になってくるわけです。
単に、協力の機会ということを語るだけではなく、いろいろと異なった形の関与が、北にどういう影響を与えるのかということも考えなければいけない。金剛山の観光プロジェクトは、恐らく第1歩としては必要なものだっただろうと思います。不信の歴史、南北間の敵がい心を考えれば、これは第1歩としては必要だったでしょう。