この2つの問題には、非常によく似た点があると思います。そして、こういった面で私よりもよりよい訓練を受けた人たちが、何らかの解決策を見いだすことができるかもしれません。
次に、1国2制度。いい響きですが、また、可能性があるかもしれませんが、問題は1つあります。最初に言ったことです。北朝鮮が経済の市場化を進めていくにつれて、ますます北朝鮮は韓国に似た状況になってくるでしょう。ということは、北朝鮮の現体制の政治的な基盤といったものが疑義に付されてしまいます。北朝鮮の人であって、その場合、本当の韓国人になるには、なぜ2次的な韓国人で満足していなければいけないのかという質問が出てくるでしょう。北朝鮮は非常に若い人口構成をもっています。状況が変わるに従って、そして、北朝鮮の人々が世界における自分たちの真の立場を、今よりもよくわかったとき、彼らは北朝鮮を出て韓国に行こうとする。船に飛び乗って日本に行こうとする。そういった動きに非常に弾みがついてくるのは明らかです。ですから1国2制度的な解決を長きにわたって朝鮮半島で維持していくというのは、非常に難しいのではないかと思います。
H 南北朝鮮の首脳会談について、その意味合いと今後考えられるような成り行きについては、吉さんとほぼ同じ印象をもっております。それよりもむしろ、多国間のコンソーシアムをどういうふうに有効につくって、具体的な北朝鮮の開発援助をしていくことができるかという具体的なプロジェクトのほうに、私はむしろ関心をもっています。
私は、何年か前に新潟で始まりました北東アジア経済会議に、1回目からほぼ毎回出ていますが、豆満江の開発が1つのテーマで、よく討議されました。これは、もう最初から、つまり、会議のシリーズの初年度から、アイデアはいいんだ。しかし、だれが一体、いつ、どのくらい資金を出すのかということで、隘路にぶつかってしまった。だから、会議ではかなりポジティブな意見を言う人も、実は、ランチョンとかで席を一緒にしてプライベートな話をする段階になると、例えば、いろいろなところの人が本音で「お金はだれも出さないのだから、これはとても無理だ、難しいよ」と言っていたんですが、その状況はいまだに本質的には変わっていないように思います。
しかし、それにしても、やはり、私たちはもし北朝鮮経済のソフトランディングを望んで、その線で国際社会への彼らのコミットメントを促していこうとするのであれば、やや夢に近いけれども、多国間の協力が必要だと思います。