東京での話は非常に後ろ向きです。ソウルでは、国際金融機関のことを、金の蛇口みたいに見ているわけです。ちょっとひねれば、ドルがどんどん流れ出てくると考えているわけです。私は、9章で分析をやってみましたが、北朝鮮が世銀の融資プラン、ADB、IMFの融資プランから、どういった資金を期待しているのか。ベトナムの経験から何を彼らは期待しているのかということですが、私の考えでは、もしベトナムの扱いと同じような扱いを受けるとすれば、1,500〜2,500億ドルを得ることかできるのではないか。これはあくまでも融資であって、無償ではありません。1,500〜2,500億ドルというのはささいな金額ではないけれども、先ほど申し上げたように、コストに対応するには十分ではない。もっと重要な国際金融機関の役割は、恐らく、技術支援を提供するということ、アドバイスを提供するということだろうと思います。直接融資というよりは。
さて、ちょっとDさんを心配させたいと思いますが、日本がどうなるのか。日本に関して2つ問われましたので、非常に悪いほうの答えを差し上げて、もう1つ、もう少しまともな答えのほうを差し上げたいと思います。
悪いほうのケースですが、日韓の1965年の合意をベースに、2000年にもってくる。そして、物価レベルの調整をする。この35年間のインフレ率等も念頭に人れて、為替変動も考える。それでもって調整をします。人口規模も違う。そして、65年の日韓の合意を現在に引き当ててみますと、大体200億ドルということになります。
こちらにジャーナリストの方がいらっしゃるので、意識していますが、Dさんを心配させる前に、1つ申し上げておきますと、日本が北朝鮮に200億ドル支給するとは思っていません。もちろん、双方の交渉力の関係、それから、現在の日本の財政の状態を考えれば、これは不可能だと思います。大蔵省が昨年私を日本に招いて、この点についての話をさせてくださいました。私はこの話をしますと、皆さん、顔面蒼白になりました。政府の方もいらっしゃいますが、私が理解するところでは、内部で話していらっしゃる金額というのは、大体50〜80億ドルだと思います。
いずれにしても、日本政府が北朝鮮政府に対して小切手を切って直接渡すという話ではないと思います。まず第1に、日本政府は日本のKEDOに対する拠出を、それに勘定すべきだと思います。日本政府の交渉担当者は、例えば、日本における朝鮮総連の資金増強の分についても勘定するべきだという話をしていらっしゃるようですが、1965年の日韓の合意では、いろいろな低金利融資、あるいは、無償の組み合わせがあったわけです。