その意味することは、日本で経済促進措置に積極的に関わっていくということ、そして、国内経済を輸出主導型に頼るのではなく、本当の意味で国内経済を強化していくということです。これは容易なことだと思います。日本はもちろん国内的な観点からこれを実現したいと考えていると思います。
残りの2つが難しい問題です。国際社会に対して北朝鮮がもっている金に対する要求の最大のものは、北朝鮮に対する植民地時代の賠償要求です。これが正常化の条件となっています。これは、北朝鮮がもっている国際的なシステムの中における最大の資金源です。ミサイル協議の一部として、米国は北朝鮮に対する経済制裁をはずしました。しかし、これは、大統領の経済的な観点からの決定です。ただ、さらにミサイルの脅威を北朝鮮が投げかければ、制裁をまたすぐに始めるよということを言っています。これは米国大統領の警告でありましょう。何かちょっとでも変な動きをやったら切る、北朝鮮との関係を改善しようとする動きが全くなくなるということを言っているわけです。ですから、北朝鮮と米国との関係というのは、本当に何かの有事があったら逆転してしまう。
これが日本との植民地政策に対する賠償ということとでは180度違います。金額は知りませんし、どういう形で決着をつけようとしているのかも知りません。これは、あくまでも交渉によるものでありましょう。そして、結果がどういうものであろうと、長い時間をかけて実行されることになるでありましょう。しかし、ある段階で、非常に広い意味で、東京からピョンヤンへ資金が行くようになったとすれば、これは、本当の意味で不可逆的なものとなるでありましょう。ここでは、韓国や日本がそのプロセスに関わることかできると思いますが、植民地支配後の問題の決着、賠償というのは重要であり、そして、米国がやっている経済制裁の解除とは違って、ある意味では不可逆的になってしまうということです。
第3点、これは、今政治的なセンシティビティが変わってくる問題だと思います。われわれは建設的な北朝鮮の変化があって、国際社会の建設的なメンバーになり、そして、韓国に対する、あるいは北東アジア全体における軍事的な脅威がなくなってくれることを期待しているわけです。これは本当に期待をもっているわけです。しかし、北朝鮮はただずっと安定するという保証はありません。崩壊するかもしれません。不安定になる、あるいは、崩壊するということは、難民の流出を意味します。すでに中国でそういった現象か出ています。ボートピープルが北朝鮮から出てくる可能性もあります。