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あるいは、昔と比べて、北朝鮮が朝鮮半島の南に対する政策、アメリカに対する政策を進めていく上で、日本ファクターというものが、もちろんあると思いますが、その重みが、この新しい状況下の中で変わっているのか。低くなっているのか。それとも、依然として同じなのか。その辺のところでもしご意見があれば、お示唆をいただきたいと思っています。

 

E 私の質問は、米国政府よりも日本国政府に対する質問だと思います。日本は、拉致事件等があって、北朝鮮との正常化がいかに可能なんでしょうか。日本国政府は、北朝鮮との将来の関係をどういうふうに見ておられるのでしょうか。拉致問題、あるいは、ミサイル問題がどれくらい正常化に関連して重要な意味をもっているんでしょうか。

 

ノーランド この数年間、今日の状況に大きな影響をもたらした3つの重要な動きがあったと思います。まず第1に、金大中大統領が、韓国と日本との関係を改善するための積極的あるいは先取り的な政策をとったということで、これは、金大中大統領が称賛されるべきでしょう。第2に、韓国が日本との関係を改善するときに、北朝鮮は日本を超えてテポドンミサイルを発射したわけです。これがさらに、日本と韓国との間に非常にいい関係をもたらし、そして、米国との間の関係改善をすることが可能になったわけです。第3に、日本が、昨年の夏、北朝鮮の脅しに乗らなかったこと、そして、賠償を払うことを拒否したということが、非常に大きな影響力をもったと思います。この3つが相まって、非常に緊密な協力関係がソウル、東京、そして、ワシントンの間に築かれたと思います。

ただ、今後、出てくる2つのくさびが可能性としてあります。すなわち、米国が北朝鮮に対する経済的な関与において行き過ぎる。そして、米国の交渉力をそいでしまう。ミサイル及び核兵器の交渉力をそいでしまうという可能性ということに対する懸念です。

それからもう1つは、日本に関する問題です。日本の役割ということで、質問がありましたが、3つあると思います。いわゆる正直なディスカッションという精神から申し上げますが、ちょっと皆様は不快に思われることかもしれません。ただ、これは、日本を批判しているのではなく、率直に申し上げているだけです。

第1点、日本政府は、韓国の継続的な経済回復を維持していく上で、果たすべき非常に重要な役割があります。そうすることによって、韓国が北朝鮮との協力をより有利な立場で対応できるようにすることです。

 

 

 

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