D 河野外務大臣のもとで9か月間、外務政務次官をやりました。大変りっぱな外務大臣で尊敬していたのですが、朝鮮問題に対する考え方がずいぶん違いまして、いろいろ発言を抑さえていたのですが、ようやく自由に発言する立場になって、大変うれしく思っています。
私たちの世代の政治家は、北朝鮮あるいは朝鮮半島の状況について、幻想をもっていません。非常に戦略的な冷静な見方で北朝鮮という国を見ていると思います。別に、歴史的な南北首脳会談が成功したからといって、もちろん、これは歓迎すべきことだと思いますが、ノドンミサイルの配置が変わったわけでもないし、テポドンもあるし、依然として拉致の問題も両国の間には存在するという現実は、全く変わっていないと思います。これがどうなっていくかというのは、これから状況を見なければわからないというのが、私が代表してはいけませんが、われわれの世代の、特に与党の政治家の認識だと思います。
今の日本政府の一番の関心というのは、この南北首脳会談を契機として、これから南北の関係が変わっていく。その中で、日本政府が、もちろん、経済の支援という面が主だと思いますが、とうやって関わっていくか。どういう貢献ができるか。日米韓で協調して、北朝鮮に対する政策をこの新しい状況下で進めていくのに、日本がどういう役割を果たせるかという、この1点に尽きると思います。
最近、政府では、もう1回、コメ支援をやろうかという話も出てきました。もう外務省を離れてしまったので、その後の情報をフォローしていないんですが、新たなコメ支援を行う可能性はあると思います。そのときに一番問題になるのは、つまり、日本政府の中に北朝鮮に対する戦略があり、あるいは、水面下で行ってきた交渉の情報があっても、それを公開できない。すなわち、パブリックディプロマシーがなかなかできないということで、拉致の問題があり、ミサイルがまだ日本に向いているという状況の中で、いかにして世論を説得して、新たな経済支援を行っていくかということだと思います。
恐らく北朝鮮は、お2人の先生のお話を聞いても、その辺はずいぶんわかっているということで、なかなかそう簡単に対日についての経済協力は進まないだろうという認識を、恐らく北はもっているんじゃないかと思います。
さらに、それに加えて、ノーランド先生がおっしゃっていましたが、北が非常に積極的な外交イニシアティブを行って、いわば間□を広げている。こういう状況があるわけですが、私の質問は、北朝鮮にとって、日本のファクターというものが、どのくらいの存在感をもっているのか。