しかし、その機会の窓が閉じてしまうかもしれない。これは、私自身の憶測にすぎないかもしれませんが、そういったような考え方、分析が行われたのではないでしょうか。経済と政治的な両方の面があったと思います。
C お二方に北朝鮮の軍事的な統一の可能性について伺いたいと思います。ここ2、3年の間、北朝鮮は威嚇外交をやってきた。核ミサイルの威嚇をやってきた。しかし、うまく働かなかった。ということで、ソフトアプローチに切り換えて、もっと世界から、あるいは韓国から金をもらおうと思っている。
そうする一方で、北は軍事力を増強する。当然、半島がそういう平和的な状況になれば、日本はもっとうれしく思うわけです。そして、戦争の場合は、米、韓の支援があるでしょうが、平和であれば、米国として、あまり韓国をサポートしようとしない。それは、北の軍にとっては大変好ましいところだろうと思われます。このような考え方は排除されるべきなのか、本当に脅威なのかを伺いたいと思います。
ノーランド 私はエコノミストであって、精神科医あるいは心理学者ではありませんので、はっきりしたことは言えませんし、私が申し上げられることはあくまでも憶測にすぎません。幾つか考えられるテーマがあろうかと思います。まず、ミサイルの問題です。これは、理由はわかるのですが、米国と韓国の利益が完全に一致するものではない。つまり、北朝鮮は今ソウルに到達できるだけの長距離砲を配備しています。化学兵器も持っています。ですから、化学兵器の攻撃をソウルに対してしかけることができるわけです。ミサイルはなくてもいいわけです。
ですから、ソウルは人質に取られている。ミサイルはもっと遠いところを威嚇するのに有効なわけで、あるいは、輸出に役立つだけの話です。ですから、韓国の立場からいえば、北朝鮮の長距離ミサイル開発は、韓国の安全保障の条件に対しては、あまり大きな影響を与えない。アメリカの場合はもちろんもっと大きな感じがします。長距離ミサイルであれば、いつの日か米本土に影響を与えますし、また、ミサイルを中東のような地域に輸出することによって、脅威が広がる。ですから、米国は長距離ミサイルの開発に対して、韓国よりももっとセンシィティブになっているといえます。
北朝鮮が国際社会との積極的な関与に本当に真剣ならば、非常に大きな平和の配当を軍の体制緩和によって達成できると思います。北朝鮮が本当に積極的に経済の近代化をするためには、軍事力に手をつけなければならない。これが経済の負担になっているわけですから。