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それとも、彼は、コメディアンとはいわないけれども、違った色合いの人間なのか。金正日の姿勢が変わってくる経過をわれわれが見逃した時期があるのか。例えば、中国のアドバイザーたちのグループが、彼に対して何らかの影響を与えたのか。こういった影響を与えた勢力があったのかどうか。何かそういう金正日についての有益な情報はないんでしょうか。そういったことを考えるのは、有意義ではないでしょうか。

 

ノーランド 金正日は、いわゆる隠遁者の精神異常者から、非常に親しみやすいおじさんに、3日間でなってしまったようです。彼は映画の監督ができるということは思っていましたが、どうも俳優にもなれるのじゃないかというぐらいです。1つだけ言いたいことがあります。これはまじめな発言ですが、ちょっと冗談ぽく聞こえるかもしれません。

あるとき、私はソウルにおりまして、あるアメリカ軍の情報担当者と話をしておりました。彼いわく、金正日は世界最大のポルノコレクションを持っていると。私はちょっと怒っておりましたが、聞きたかったのは、ではだれが世界第2位の大きいコレクションを持っているんだということです。非常に秘密主義であるということ、金正日の周辺も非常に秘密主義で凝り固まっているということ。また、外国の北朝鮮訪問者はほとんどいない。サミットの前に1、2名が行っただけ。それから、北朝鮮と韓国の間に敵対関係がある。競争関係があるということから、北朝鮮、特に金正日は、誤った情報、うその情報の非常に簡単なターゲットになりやすいということを忘れてはいけません。金正日について読むことを全部信じると、例えば、すべての性病にかかっている。がん、肝炎、マラリア、眠り病等々、あらゆる病気にかかっており、もう何十回も死んでいるぐらいです。

ですから、金正日に対するわれわれのイメージというのは、ちょっと誇張されすぎていたのかもしれません。こういったうその情報、誤った情報があるわけです。彼のビヘイビアというのは、過去に言われていたほど極端なものではないのかもしれないと思います。

そういう意味で、明らかなパブリックイメージの劇的な変化はありましたが、われわれ自身の間違った概念そのものが、この転換をより顕著に感じさせているのかもしれません。ご質問は、彼は本当に変わっているのか。彼のアドバイザーはだれなのかというご質問でしたが、わかりません。

 

 

 

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