最後に指摘しておきたいのは、現在の南北関係あるいは、サミットのコンテクストからいえば、答えよりも多くの疑問が出てきたことです。まず第1に、南北和解、協力、それによって、両方が勝つようなゲームになるのか。だれもこの南北間の和解、協力のエンドゲームかどうなるのか、姿は見えていません。そして、そういったエンドゲームを達成するのは望ましいのか、本当にそれを御していくだけの能力があるのかもわかりません。
第2に、北朝鮮の核疑惑、われわれの懸念、そして、われわれの経済的な支援能力。また、非政治的な分野における協力の可能性ということですが、どうやってそういった2つの違う要素を、うまくハーモナイズさせるか、バランスをとっていくことができるのか。また、われわれが北朝鮮を支えるにしても、それをするだけのわれわれの許容能力かどこまであるのかという問題があります。ですから、ノーランド博士の最後のご指摘を引き継いで言えば、これから先数年、私どもは今までとはむしろ危ない時代を経験するかもしれません。
伊豆見 ありがとうございます。今の吉先生のお話も、これからのディスカッションを進める上で、大変いいお話であった。幾つも重要なポイントをご指摘いただいたと思います。最後に、ノーランド博士と同じように、今後の状況を見通すときに、必ずしも楽観的にのみ見られるというだけでなく、むしろ危険な側面があるということをおっしゃったことは、私も全く同感であります。
確かに、南北のサミットが行われて、朝鮮半島に和解の雰囲気が生じていることは、大変結構なことだと思いますが、その一方で、解決されていない問題があるのみならず、新しい問題が出てきているということも事実です。われわれは慎重に今後対処していかなけれはいけないと思います。
あとは、活発にいろいろとご議論いただければと思いますが、もちろん、ご質問をいただくということも結構でございます。最初に少しご質問のほうをちょうだいして、そのあと、むしろフリーにディスカッションをさせていただければと思います。
A 私はAで、ワシントンのHeritage Foundationの者です。サミットのプレーヤーたちを見ていますと、金大中については、われわれはかなり、プラス面もマイナス面もよくわかっています。金正日は見たところ、どうも逆転劇を演じたと思います。まず、メディアタイプの独特な特徴づけをなされたのですが、まず第1に伺いたいのは、金正日は本当に変わったのか。