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現在の韓国の指導層の能力を信頼できるのだろうか。彼らのスタッフを信頼できるのだろうか。それから、そういった方向への世論のサポートを期待できるのだろうかという問題があります。

ですから、これが韓国の国内安定と関わってくる、政治、社会的な安定と絡んでくるわけで、これも、サミット後の南北関係を決定する非常に大きな要素になると思います。

それから、3番目の変数は、国際社会の動きということになります。特に、日米韓の間の協調の問題です。この3国間の協調は、基本的には安全保障上の北朝鮮の脅威、あるいはまた、人道的な支援というところに、ここ数年間焦点を当ててまいりました。この新しいコンテクストの中で、3か国の協調は、外交面より実質的な経済面に焦点を移していかなければいけないと思います。こういったプロセスの中で3か国の協調、協力が円滑に進むのか。あるいは、北朝鮮がくさびを打ち込もうとするその策に乗ってしまうのかというところが問題です。

いずれにしましても、この3か国の協調のやり方あるいは方向は、受け身からより積極的な方向に転じていかなければいけないと考えます。

最後に、最近、韓国に行きまして、その際、高官とも会ってまいりました。この南北サミットの準備に当たった方々とも、直接会ってまいりまして、得た印象としては、非常に複雑な気持ちでした。北朝鮮の金正日氏が何を考えているのかということは別にしまして、韓国の指導者たちが描いているような青写真に関しましては、非常に興味をもちますし、また、怖い思いもします。

南の金大中大統領の任期はあと2年数カ月ですから、そのときは彼はやめなければいけない。また、北のほうでは金正日氏ですが、皆さんは違う見解をお持ちかもしれませんが、彼にしても、いささか暫定的なmandate(期限付任期)にすぎないのではないかと思います。北京に行った。そして、南北サミットでは彼は非常にうまくやったと見られています。そして、国際社会に彼の非常にいいイメージを送ったわけですが、相変わらず彼が北朝鮮の幾つかの勢力から与えられている任期は、一時的なものにすぎないと思います。彼は、父親と違って、彼自らのパフォーマンスによって自分の指導力を立証しなければいけないわけです。ですから、韓国の政治的な日程を考え、また、北朝鮮、金正日氏のリーダーシップの性格を考えれば、これは、オープンエンドのゲームではないということになります。

 

 

 

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