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もし、その第2の問いかけに対する答えが、北朝鮮は体制改革の能力を持っているということになれば、3番目の最後の問いかけは、では北朝鮮体制の最終的な目的は何なのかということになります。北朝鮮の政権が、経済近代化、改革の道のりに乗り出そうと、そして、そのプロセスを成功裏に遂行することができれば、経済改革から得た利益を何に使っていくのか、それを差し迫った、北朝鮮国民の物質的なニーズに対応するために使うのか、それとも他の目的に使うのかということになります。

この3つの問いかけを、残った時間を使ってお話ししてみたいと思います。まず、第1問ですが、目先の意図といいますか、ここ数カ月の間われわれが見てきた動きは、北朝鮮としての抜本的な政策の方向転換を意味し、それに沿って行ってきたということなのか、それとも、戦術的な動きにすぎないのかということです。当初南北サミットの発表が、韓国選挙の1週間以内に発表されたとき、つまり金大中大統領の党が、世論調査で大幅に劣勢だったわけですが、当時、この発表は戦術だと言われました。つまり、北朝鮮は、世界各国から何とか資源をうまくせしめようと、そして、選挙に直面して、必死の金大中氏と何とか取引をうまくしようと、そして、50%ほどの確率で、アメリカの大統領選挙で、より強硬な政権が2001年1月に就任する可能性を考えて、何らかのうま味を得ようとしたのではないか、ということになります。

それ以降、幾つかのことが起こっています。1つ強調したいのは、金正日氏の南北首脳会談直前の北京訪問です。北朝鮮は、ご存じのように、ここ10年間、中国、旧ソ連並びに東ヨーロッパにおける改革プロセスに対しては、激しい非難の言葉を浴びせかけてまいりました。金正日氏の言葉を引用すると、こういった改革は、バイ菌だ、蚊だ、何かその害虫だ、押さえ込まないといけない害虫だと言っていたわけです。改革というのは、帝国主義者が口先で言う、はちみつで絡めた毒だと言っています。

私の本の中でも、例えば、その開放のことは、社会主義を非常に低下させる任務を担ったトロイの木馬だと言っています。1994年、北朝鮮は、中国のことを社会主義の大義を裏切ったものと言っています。

しかし、北朝鮮の言い方もその後、だんだんと穏やかになります。つまり、自らの経済的な状況が、困窮が高まり、そして、中国からの支援に頼らざるを得なくなったからです。

 

 

 

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