中国側も体制は似ていますが、いる数が違います。私は以前大連市の外事弁公室の通訳をする人たちがいる部屋に行ったことがあるのですが、40人ぐらいいるのです。何語で対応できるのか聞くと、英語、日本語、ロシア語、朝鮮語、スペイン語、ドイツ語、フランス語というふうに言っていました。日本語だけで確か6名程度いたと思います。
まず、国際交流課にそれだけの人がいます。もちろん地方自治体が大きく、大連市といっても540万人ですから、大阪府と同じぐらいでしょうか。ですから、母数が違いますから、当然そこにいる人たちも数が違うと思います。ただ、決定的に違うのは、遼寧省の場合、環境局に行っても、対外貿易合作方部に行っても、文化交流を担当している部署に行っても、その局に日本語を話せる人たちが必ずいます。もちろん日本語だけではありません、英語を話せる人たちがいます。言葉という武器を持った人たちの絶対数が全然違うなというのが私の印象です。
2つ目、意思決定がどのようになされるのかということですが、例えば吉林省の長春市の例を挙げます。私がヒアリングしたときの話です。例えば図們江での国際交流政策を例にします。吉林省としては、ここに日系企業に出てきてもらいたい。では日本を引き込むためにはどうしたらいいのかを、仮に命題として立てたとします。
この場合、中央政府の政策調整室、もしくは省共産党の政策調整室の人たちが、自分の地域にある研究所に政策提言を依頼します。依頼のパターンは2つあります。1つは、何月何日までに、例えば図們江開発で日本の企業を引き込むためにどのような方策があるか、文書で上げよと通知します。長春市には17の国際研究所があります。その主な研究所に通知します。その文書を、例えば副省長の秘書室に集めて、一番いいものを選ぶ、もしくは幾つかのミックスをつくっていくというのが1つ目のパターンです。
2つ目のパターンは、何月何日にそういう内容の座談会をするから、担当者を出せというものです。その座談会で各研究所の代表者が話し合って、その中で政策を決めていく。これが主にとられている、国際政策を決定していく過程です。その中で、何かこれだと思うものが出てくると、その座長が副省長に上げます。副省長がそれを読んでいいなと思うと、そこに「これを実施せよ」といったメモを入れます。そうすると、調査費用がつくというシステムになっています。