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このように考えるおじいさんたちは、日本軍と実際に戦った経験があります。だから批判します。

しかし、地方自治体が頻繁に交流する場合はどうでしょうか。日本の地方自治体は軍事とは一切関係ありません。さらに、相手側の住民に届く国際協力をしています。これは非常に大切なカードになるのではないか。相手に全く軍事力を一切意識させない。もし、日本の地方自治体が国際協力の前面に出てくれば、そういう軍事力を意識させない国際協力、純粋に相手に素直に伝わる国際協力の展開が可能になると思います。

ただ、現在の日本政府は、まだその点についてはあまり強い関心を持っていません。自治省は、段階的に着実に制度をつくっていますが、政府全体としては、そういうものに対する認識が非常に薄い。

ですから、結論として申し上げますと、それを使ったか否かでは、日本はまだ十分に使えていない。でも、外交成果といえるような、効果を上げる可能性は幾つか転がっていると思います。以上です。

 

C 日本国際交流センターのCと申します。

中国のことについて質問させていただきたいんですが、瀋陽市の話、非常に戦略的かつ実践面でも非常にすばらしい成果を上げている。毎年、数百社の外資系企業が誘致されるというのは、多分日本の県レベルは非常に少ない。それが可能になる中国地方政府の体制というか、どういうスタッフが体制を支えているのか、それから、そういうことについての意思決定を地方政府自身がしているのか、中央政府の意向がそういうところに入っているのか、そういうことを支えるための専門的なスタッフがいるかどうかが、1つの質問です。

もう1つは、今回のタイトルにあるように、多元的外交というけれども、中国政府というのは、我々のイメージとすると非常に中央集権的な国であるわけです。けれども、地方政府がこういう形で独自にいろいろな動きをしてくると、それは中国政府の外交政策とどこかでぶつかってくるようなことはないのか、中国政府自体はどういうふうに見ているのか、推進しようとしているのか、あるいはどこかで歯止めをかけようとしているのか、そのあたりはいかがでしょうか。

 

吉田 まず第1点目の、例えば遼寧省瀋陽市で国際協力をするためのスタッフがどういうふうに存在しているのかということですが、日本であれば多分、国際課にロシア語を話す人が1人、ハングルを話す人が1人、中国語を話す人が2〜3人いると思います。

 

 

 

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