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主な要因としてあるのは、経済振興です。ただ、この経済振興に関してはなかなかうまくいきません。中国側では非常にうまくいくのですが、経済の発展段階が違いますから、日本側ではうまくいかない。そこをいかに解決していくかが、今日の日本の地方レベルでの国際交流事業、協力事業の主な課題だと思います。

ただ、日本の地方自治体の方はかなり勘違いをしているのではないかという気がします。日本は確かに中国と比べれば経済発展しています。経済交流をするために相手との貿易と直接投資を拡大する政策を立案するわけです。しかし、そもそも日本の地方に本社のある大企業が幾つあるのか。むしろこちら側から直接投資するのではなく、相手側の有望な企業、ハイテク企業で、特に日本の市場や、アメリカの市場をねらうような企業を、自分たちのところに誘致すべきではないか。

しかし、今の段階では自分たちの方が先進国だというイメージがしみついていますから、まさか中国が投資してくるとは思っていません。ただ、そういう中でも神奈川県とか、北九州市など、非常にセンスのいいところは、中国に行って企業誘致をしてきます。それで成功しています。神奈川県はハイテク、それから北九州市は、中国の国際信託投資公司という財閥企業の西日本支社を、大阪と競争して、北九州へ誘致してしまいます。特に地域益については、経済を主眼に考えているが、なかなかそこがうまくいかない、そこで皆さんの批判の的になるというのが現状ではないでしょうか。お答えになりましたでしょうか。

 

司会 ほかはいかがでしょうか。

 

B 岡崎研究所のBと申します。

吉田さんの話を伺って、日本の地方自治体は非常に積極的に海外活動しているというのは理解できましたが、しかし私が理解できない幾つかのコンセプトがありますので、質問させていただきます。

吉田さんが、一番最後に結論としてお話しになったことは、地方分権、地方の活性化、それが経済にも及ぶということでは理解できました。そこで、吉田さんは一言、地方自治体の交流とおっしゃいました。ところが、この標題、それから新聞に寄せられた寄稿を読みますと、地方自治体外交となっています。

外交といいますと、当然外交を実行することによって選べる何かがあるわけです。地方自治体の交流を遂行して、外交上の何らかのメリットが得られるのでしょうか。

 

 

 

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