日本財団 図書館


最後に地方自治体の課題に触れます。地方自治体にも当然問題があります。地方自治体の課題は3つあります。第一に、政府と地方自治体をつなぐ、国際協力のための中間組織を立ち上げることです。これは、カナダやドイツ・オランダにはあります。そういう中間組織が政府のODA予算や、国連から助成金をとってきたり、民間から資金を集めたりしながら、地方自治体の国際協力事業を推進しています。日本でも、例えば全国知事会とか全国市長会とか、さらにコストを落とすのであれば、自治体国際化協会の中にある自治体国際協力センターの改組などを通じてつくる必要があります。

具体的に活動内容は、まず第一に、国際機関、政府、民間組織から委託金や助成金を受け入れる受け皿とする。第二に、事業の公募をし、さらに選別をする。第三に、国際協力のための専門家を雇用し、事業支援と調査をしていく。第四に、国際機関や、国会議員、政府にロビー活動をする。そして最後に、第三者機関として協力事業の評価をしていく。こんな活動をする中間組織があれば、日本の地方自治体の協力も変わってくると思います。もし、この種の組織に興味がある方がおありなら、カナダのオタワにあるカナダ自治体連合国際局がよいモデルになると思います。

第二の課題は、友好姉妹都市を通じた国際交流から脱却する必要があると思います。初め、まだ国際化が全くない状況であれば、例えば知人を通して、例えば、そこに自分たちの地域と同じような産業がある、例えば、ある識者の生まれ故郷だった、そんな偶発的な姉妹都市交流でも初期の段階ではよかったと思います。ただ、日本の地方自治体の皆さんは、この姉妹都市交流を本当にきまじめに考えすぎます。ですから、経済交流がしたいにもかかわらず、まず姉妹都市交流で、人の交流をし、文化交流をし、積み上げながら相互理解をつくり、最後に経済交流の段階になります。ただ、それはやはり無駄ではないか。従来の友好姉妹都市交流を全部なくせという話ではありません。ただ、もし自治体が経済振興のために外国の地方自治体と協力するのであれば、友好姉妹都市交流以外にも、時間を限定した事業契約で交流をしていけば、拘束が弱くなります。やはり文化交流と経済交流を分離していくべきではないかと思います。だから、例えば新潟県が黒竜江省と姉妹都市交流をしていても、経済面で遼寧省と経済協定を結んで新製品を開発していく、それの方がむしろ相手にもわかりやすいのではないかと思います。

最後の第三の課題、これがかなり悩ましい問題です。それは知的インフラの整備状況です。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION