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また有効な外交カードにもなれば、地域振興政策にもなる可能性があります。ですから、ここはまず国会できちんと調査をして話し合う必要がある。つまり、推進するか推進しないか、推進するのであればどう推進するのかきちんと話し合っていく必要があると思います。

それから、今、申し上げました政府開発援助基本法、自民党はこれまで社会党、公明党のものを6案廃案にし、自民党が初めて出す政府開発援助基本法です。これが実際参議院に上がるのか否かまだわかりません。ただ、昨年までは現在の外務政務次官の山本一太氏が中心になって、勉強会を開きながら法案の準備をしていました。もし法案が出るのであれば、ぜひ実施主体は、一元的外交ではなくて多元的な外交、特に地方自治体が国際協力を推進できるような環境をつくる法律ができればと期待しています。

さて、次に政府ですが、きょう自治省の方もいらしているため申し上げにくいのですが、やはり外務省と自治省との調整が必要になってくると思います。総合的な支援体制を組む、総合的な政策として地方自治体の国際協力を位置づけていく必要があると思います。

まず、批判する前に肯定的側面を申し上げます。日本の地方自治体における国際交流の体制、そして、その支援策は、少なくとも北米とは比べ物にならないほど整備され、優位な状況にあります。例えば、各地方自治体に国際担当の課をつくり、それを統括するように自治省に国際室がつくられる。さらに地方で地域国際化協会をつくり、そこをNGOのコアにしていく。そして、中央にも自治体国際化協会をつくり、最近、国際協力センターをその中に設置する。非常に組織的に整備されています。さらにアンケートにより、非常に細かいデータをとっています。これは、北米のカナダやアメリカでは全くないものです。もちろんカナダやアメリカは移民国家で、国際交流によってできたような国家ですから、日本とは条件が違うかもしれません。ただ、各省ごとを見ていけば、非常に体制整備は進んでいます。

要するに、問題は各省ごとではなく、政府全体としてどうするのかにあります。姉妹都市交流というと、本当に文化交流としか皆さんはお考えにならないかもしれません。しかし、ヨーロッパは、姉妹都市交流を重要な外交手段として考えています。初めにひどく殺し合ったフランスとドイツの間で、姉妹都市交流が活発になります。お互いの憎しみを取り除き、相互理解を促進するのが目的でした。その基礎となる考え方は、憎しみの除去と相互理解を促進するためには、職業外交官だけでは無理だという経験が基礎にあると思われます。

 

 

 

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