これは日本ではあまり知られていないのですが、瀋陽市の対外交流、経済発展をサポートするために、日本の興銀や東芝、荏原製作所の本社の代表取締役が直接委員になっているコンサルティングのための会議です。そして最後に、記者会見を開いています。これは新聞やテレビが30社集まりました。また、『日本経済新聞』との単独インタビューも行っています。
以上を要約しますと、まず中央政府と折衝する。大臣への表敬訪問をしてから、具体的に、通産省であれば北西アジア課長と会い、ODAのロビーイングをしています。さらに、地方政府で国際協力事業について協議します。そして、自分たちの地域に投資意欲のある企業を集めて投資説明会をする。さらに、記者会見を開いて情報を一般に発信していくといった活動を6日間でこなしています。私自身は、この活動内容を見て非常に驚きました。6日間でこれだけのことをやる、さらに60人の地方公務員が随行しています。さしずめ日本であれば大臣が外遊したときのような、非常に多義で、さらによく考えられた訪日をしている印象を持ちました。
このような訪日を繰り返す中国の地方自治体が、さらに対日政策を持って日本と交流をしています。日本の地方自治体はそれに対応できるのかどうか、この点が大きな疑問点です。日本の地方自治体も必死にやっています。ただ、中国の政策の方がよくできている気がします。これは勝つか負けるかという話ではありません。相手側の優れたところをどんどん取り入れて、相手と同じようにやっていけばいいのです。少なくとも、中国側はやっていますから、日本側でもできるのではないかと思います。
少し話が長くなりました。最後に地方自治体の国際協力に関する今後の課題をお話しし、私の話を終わりとしたいと思います。ここでは、課題を3つに分けました、国会の課題、政府の課題、地方自治体の課題です。
まず、国会の課題。当然のことながら、衆議院にも参議院にも外交を話し合う委員会があります。ただ、参議院の外交担当の調査局の研究員によると、参議院ではほとんど地方自治体の国際協力について話し合われたことがないという話でした。さらに、現在、自民党内で進んでいます政府開発援助基本法についても、過去6回参議院に上がっていますが、そのときにも地方自治体が話題になったことはほとんどない。これは非常に問題ではないかと思います。これまでお話ししたように、地方自治体は非常に大規模な国際活動をしています。