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非常に具体的な行動計画を含んでいました。その中で特に注目すべきものとして、情報ルートを組織的に、多角的に拡大していくという政策がありました。日本政府、友好都市、民間団体との交流を拡大して、批判や要望を積極的に吸い上げ、それによって中国国内での優位、さらに世界的な投資環境の優位をつくり出していくのが目的です。

具体的には、レジュメのC)a)に書いてあります。まず第一に、副省長に直属するトラブル処理機関を設立すること。これだけだと大したこととは思われないかもしれませんが、日本総領事館が一番仲よくしていた組織はここです。中国ではいろいろな企業トラブルが起きます。そのトラブルを下から上げていたのではとても間に合わない。ですから、日本総領事館に企業がトラブルの相談に来た場合は、まずここを紹介し、直接解決してもらう。実際にかなり解決しています。おもしろい例では、裁判所が誤審をします。それは明らかに中国の法律違反だとします。このトラブルを解決するため、この組織に連絡をし、3日で裁判所が自分たちの間違いを認めたというケースがありました。

第二に、日本との情報パイプを維持するため、省政府が東京や大阪、神奈川、富山に大型代表団を出しました。そこで商談会や中央・地方政府との協議を行っています。これは後で、瀋陽市の事例でお話ししたいと思います。

第三に、地場企業、特に日本企業との同業者交流を推進しています。それから業界団体とも積極的に交流するよう指示が出ています。例えば具体例を申し上げますと、省政府であれば環境局があります。その環境局が日本の環境庁にアクセスする際、どこのどんな人にアクセスしたらいいのか、それを調べろ、実際に会ってこいという指示が出ています。

では、そういう政策の中で、中国から来た代表団が具体的に何をしているのかをお話ししたいと思います。それがレジュメのDの部分で、瀋陽市長の訪日中の活動内容が書いてあります。これは、1998年11月の6日間のスケジュールです。大きく分けて6項目の活動をしています。

まず第一に、要人と会見しています。通産大臣と外務政務次官に会い、そして友好都市である北海道知事、札幌市長に会っています。第二に、札幌・東京・大阪で投資環境説明会を開催しています。東京で開いたものは750名で、1部上場企業が50社以上集まった投資説明会でした。第三に、合弁企業の調印式を5件行い、第四に、友好都市との国際協力事業の打ち合わせをし、そして第五に、第3回瀋陽経済発展促進諮問委員会の会合をやっています。

 

 

 

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