その結果として、同省が改革・開放以降に誘致した外資系企業は、1万8,000社になります。日系企業だけでも2,818社、毎年200〜300社、外資系企業が増えています。
では次に、このような遼寧省の国際政策についてお話ししたいと思います。日本も中国も同じですが、まず省レベルで全世界に対する政策を持っています。ただ全世界といっても、日本でいえば環日本海交流大綱とか、そんな感じの政策です。ただ、遼寧省を注目すべきなのは、その全世界に対する国際政策の下に、日本に対する対日政策を持っていることです。要するに、中央政府の外務部と同じように、まず総体としてのマクロの政策を持ち、その下にミクロの国別政策を持っています。
同省の対日政策を、98年を例にお話ししたいと思います。目的は、国際交流・国際協力を通じて、産業構造調整と国有企業改革を推進することです。具体的には、労働集約的な企業を資本集約的企業に変えていく。外資系企業と積極的に合弁し、組織や経営形態を変えていくことを目的としています。
具体的な内容は3つあります。第一に、日本の国内で生産活動に限界がある装置型産業を調査して、それを同省へ誘致し、それにより産業構造を少しずつ上げていくことです。この調査は、具体的な企業名まで探し、ヘッドハントをすることを含んでいます。
第二は、中国へ進出意欲のある日系企業を調査し、合弁を推進し、国有企業の経営技術を改造していくことです。これも遼寧省、それから瀋陽市の日本の出先が具体的に企業名を探し出して、それを誘致する活動をしています。
最後は、企業技術者などを日本へ労務輸出して、技術研修と余剰労働力対策を同時に実施することです。日本ではまだ外国人労働者は全面解禁されていませんが、研修という名目で地方の中小企業にだいぶ入ってきています。これまで、中国が出してきた労働者は技術のない若い人たちで、正直にいえばただの低賃金労働者でした。しかし、遼寧省では今後は、高学歴の技術者を、特に将来同省に誘致していきたいと思うような分野の会社に送り込んで、とりあえずは余剰労働力対策をして、さらに彼らの技術研修が終わった時点で帰国させ、経済発展に役立てようという計画を持っています。これを毎年数百人単位で実施しています。
今お話ししている内容は、遼寧省の副省長がマスコミ、それから日系企業、総領事館のスタッフを集めて開いた記者会見のときに話した内容です。そのスピーチ原稿だけで5ページ以上あります。