ですから、まず良好な国際港があるところに進出し、自ら情報を集めながら、何か地域に役立つ新しい輸出品、輸入品がないかチェックしています。事務所は41ですが、それ以外にほとんどの姉妹都市交流先に、日本の地方自治体から研修員の形で、自治体の職員が出ています。ですから、実際の情報収集ポイントも41ヵ所よりはるかに多く存在しています。
ちなみに外務省の体制と比較すると、北京に大使館が1つ、瀋陽と上海と広州と香港に総領事館が4つ、それから大連と重慶に事務所が2つです。もちろんこれだけでは比較できませんが、以上からも、いかに日本の地方自治体が中国に広範囲に進出しているかが、おわかりいただけると思います。
では次に、相手側の中国側がどうなっているかをお話ししたいと思います。以前私が勤務していました、遼寧省、特に瀋陽市の事例をお話しするのが一番いいのではないかと思いましてここに出しました。
まず、遼寧省ですが、98年現在、人口が4,090万人、日本の3分の1ぐらいです。瀋陽市の人口は674万、大連市が541万、そのほか100万都市が12あります。産業構成は、第1次産業が13.7%、第2次産業が47.8%、第3次産業が38.5%で、工業省です。
ここで工業省が発展した歴史は、満州国のころにさかのぼります。日本が満州支配をするための軍需産業がここ瀋陽に置かれます。ただ不幸なのは、遼寧省の工業は、日本が残した工業基盤、そしてソ連からの援助で主に形成されます。つまり、非常に技術が古く、ひどい公害を出します。当然のことながら、今、遼寧省で最大の問題は、国有企業改革です。古い技術の工業企業を改造し、必要であれば破産させ、環境を保全する方法が大きな問題になっています。
満州国は侵略でしたが、日本との交流の歴史を持ち、地理的にも近い遼寧省の方々は、日本に強い関心を持っています。
では次に、その強い関心が遼寧省の国際交流にどのように反映されているか、具体的にお話ししていきたいと思います。中国はどこでも国際港、国際空港、高速道路、国際工業団地を積極的に建設しています。遼寧省の場合、国際空港が2つ、国際港が3つ、国際工業団地が、300万人前後の各都市ごとに存在します。それ以外に、大連には日本工業団地、瀋陽には韓国工業団地と台湾工業団地が存在します。さらに、瀋陽市は、現在、神奈川県とハイテクパークをつくる計画を進めています。