日本財団 図書館


以前であればソ連、それから現在であれば北朝鮮、そして台湾とも地方自治体は交流をしています。特に北朝鮮に関しては、72年に、「日朝友好貿易促進日本海沿岸都市会議」が設立され、日本側21都市が参加しています。北朝鮮から人を呼んだり、派遣したり、調査などを継続的に今でもやっています。

さらに注目すべきは、92年この沿岸都市会議のメンバーの鳥取県の境港市が北朝鮮の元山市と正式に姉妹都市提携を結んでいます。私の読んだ記事では市議会がきちんと決議を出して、正式に姉妹都市交流を結びました。国交のない国に対して姉妹都市交流を正式に結ぶのは、とても変な表現になりますが、実態として存在します。これらを活用しながら、日本は北朝鮮と交渉していくこともできるのです。そういう意味で、外交政策として、地方自治体は非常に大きなカードになり得るというのが私の意見です。

では次に、周辺国の動向についてお話ししたいと思います。特に現在、日本と中国との都市間交流が非常に進んでいます。ですから、日本と中国の事例を挙げながら話をしたいと思います。

98年現在、中国と日本との姉妹都市交流は261件、全体の19%です。江蘇省、浙江省、山東省、遼寧省に集中しています。ただ、集中しているといっても、ご覧の円グラフのように、全体の3分の1にすぎず、ほかのところにも満遍なく広がりつつあるのが現状です。

A-3をご覧ください。友好姉妹都市交流をべースにして、どんな活動が行われているのか、形態で申し上げますと、研修生の受け入れ、経済交流団の派遣、専門家の派遣などが多い案件です。内容で申し上げますと、環境保全、都市計画、生産技術や製品の共同開発などが交流事業として行われています。一般的な日本人のイメージでは、中国との姉妹都市交流は、日本側が持ち出し、さらに日本側が相手に尽くすだけと思われがちですが、実はそうではありません。例えば、山口県では、非常に古い品種の桃を山東省からいただいて、新しい品種の桃をつくる研究をしています。

地方自治体の国際交流でもう1つ注目すべきことは、日本の地方自治体のオフィスが中国にたくさん進出していることです。現在日本の地方自治体の中国事務所は、実は41カ所あります。その中で30カ所は単独の事務所です。集中しているのは、香港、上海、大連です。なぜ集中するのかというと、非常に良好な国際港があります。特に中国との姉妹都市交流で地方自治体が望むものは、輸出入を通じた地域振興です。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION