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この名前の意味は「中国を知る人」。私は私の子供に自分の血の半分が中国人であることを忘れてもらいたくない、そういう意味を込めて子供に名前をつけました。すべての国際結婚の子供たちが、そうであるとは限りませんが、こんな子供たちも続々と日本の小学校に入学してきます。

それ以外に、日本に移住する外国人もたくさんいます。つまり、日本が単一民族だという概念が根底から変わっていきます。足元から日本も大きく変わっていく、そんな気がします。

ただ、残念なことに、具体的に日本がどう変わるのか、私自身にもわかりません。20年後の日本がどうなっているのか、全く想像もつきません。ただ、世界銀行が出している報告書によると、これからの世界の大きなトレンドは3つあるといっています。グローバリゼーションと都市化、そして地方分権です。つまり、地方で大きな変化が起きることを予兆しています。

さて、国家の形態が変わると、国益も変化し、それが問題となります。国益という言葉は、日本では死語となりつつありますが、実は私はとても大切な言葉だと思っています。特に1945年以降日本人が考えるのをやめてしまった、しかし考えなければならない、大切な言葉だと思います。

では、国益に集中して、今後どのように変わっていくか考えてみたいと思います。レジュメの1.(1)2)「国益」の定義の変化をご覧ください。従来、「国益」とは、「国家益」と「国民益」で形成されるとするのが定説です。つまり、民主主義国家であれば、「国家益」と「国民益」は同じですから一致し問題ないという解釈でした。ただ近年、国家の再編成、統合、それからNATOの空爆などを見ていると、「国益」の考え方が大きく変化しています。具体的には、「国家益」の上に「人類益」がついてくる。さらに「国家益」と「国民益」の間に「地域益」が生まれていると思われます。「人類益」というのは、例えば人権とか環境問題です。「国家益」は従来のままです。例えば領土問題とか領海とかです。「地域益」、これはあまり聞きませんが、沖縄の米軍基地の問題と、そのときの沖縄の反応を見ていただければわかると思います。「国民益」とは個々人の利益です。

当然のことながら、利益が4つに分かれてくると、それぞれの利益代表も変わります。しかし今の段階では正確には分かりません。ただ、私の考えでは、「人類益」に対しては国際機関、国連とかNATOとかです。

 

 

 

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