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いろいろな方々に話す、特に不特定多数の方々に話すのはあまり慣れていません。ですから、わからないところがありましたら、気軽にご質問してください。

きょう私がお話しするのはこのレジュメです。標題は「国家経営における多元的外交の役割」、これは受賞した論文の標題をそのままとっています。きょうお話したいと思っている内容は3つです。第1点目は、外交政策における地方自治体の役割、特に多元的な外交の中で地方自治体がどんな役割を持つのかということ。第2点目は、実際の自治体の対外交流がどうなっているのか、日本の国内の概要、それから周辺国、特に中国の動向がどうなっているのか。そして最後に、自治体の対外交流を推進するための課題を、国会、政府、地方自治体自身について、分けて話をしていきたいと思います。

まず一番初めに、このレジュメの後ろの厚生省からのファクスをご覧ください。今テレビでもよく言われることですが、世界的に国家の再編成が進んでいます。コソボなど分裂していく地域、ヨーロッパのように統合されていく地域、世界的に国家の再編成が進んでいく、これは避けようのない事実です。ただ、幸か不幸か、北東アジアでは資本主義であれ、社会主義であれ、非常に強力な中央集権国家ができています。従って、まだその分裂が本格的には始まっていません。ただ、このまま過ぎるのではなくて、これから起きてくるのではないか、私はそう思っています。

その兆候を示すものの1つが、レジュメに添付した厚生省の公式統計です。1997年の国内での国際結婚のデータです。全国の部分、すなわち全体の3.6%、27組に1組が今国際結婚です。さらに東京都の都心部の場合は7.9%、12組に1組が国際結婚ということになります。どんな方々が結婚しているのかというと、男性が日本人の場合は、中国、韓国、フィリピン、この辺が多いようです。ただ、韓国、北朝鮮に関しては、在日外国人の方々が多少含まれていると思います。妻が日本人の場合は、中国、韓国、米国となります。

では、具体的にイメージをつくっていただくため、少し個人的な話もしたいと思います。私は東京に住んでいますが、97年で12組に1組が国際結婚です。12組に1組ということは、この組み合わせの夫婦が子供を生んで、6年たつと、小学校の1年生のクラスの1クラスの中に4人ぐらい外国人の父親か母親を持つ子供たちがいる計算になります。非常に多いですね。そういう子供たちが、どんな意識で小学校に入るのか。例えば、実は私も国際結婚で、妻は中国人です。私の子供は知華(トモカ)といいます。知識の「知」、中華の「華」と書きます。

 

 

 

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