これからは知識での競争ですから、そういう人たちが蓄積された知識を、日本全体で活かしていく仕掛けがあって、それがビジネスに翻って反映され、さらに、次のところへ回っていくという、そういう仕掛けがないのではないかと思います。先ほどのゴアさんの話ですが、彼が向きを変える一つの旗印になって、それに合わせて皆が動き始めた、そんな形だと私は想像します。あと、言語の問題とか、日本人の国民性だとか、いろいろあるとは思いますが、産業政策的な面でいうとその二つだと思います。
E 経営環境モデルの絵で、最後に顧客という部分がありますが、今、お話をうかがっていると、Bの方の変化とか進化のお話はずっとあったのですが、Cのところの変化、ここのコミュニティ化と書いてある部分。グループ化したり、コミュニティ化して会員化する。お客さんの動きとしてどんな変化になっているのか。これから、どう変わっていきそうなのか、おわかりでしたらお願いします。
緒方 コミュニティ化ということで、先に少しお話をしますと、電子メールだけの友だちですとか、メーリングリストだけの友だちなどがあります。これが、世の中で報道されるのは悪い方の事例ですが、必ずしもそれだけではない。電子メールだけを通じた人同士の会話、あるいは、その人たちだけのグループ化も出てきているというのが、一つのイメージです。では、具体的にどういうコミュニティになるのかというのは、これからじゃないかと思います。今までと違うと、少なくとも言えるのは、土地に縛られた物理的なコミュニティとは違う、サイバーなコミュニティだということは間違いありません。
もう一つ言えるのは、今まで重要だったことが重要でなくなり、重要でなかったことが重要になる。そういう面はいくつか指摘されております。例えば、今までは「年齢」というのがコミュニティとか、人との接点では重要なファクターを占めていました。老人はいろいろな活動に参加できないなどというような。しかし、ネットワークの世界では「年」は関係ありません。性別も関係ない。それから、金銭的な、例えば、所得などへの感受性が少し下がる(そうは言っても、持つ者と持たざる者との分離はある)。いろいろ言われてはおりますが、先ほどの進化論的な話、Microsoftで言えばIBMにDOSを供給したばかりの段階で、それがどっちの方向へ進むのか、まだわからないところではないかと思います。逆に、どなたかでそうじやない、こういうのが見えていますという意見があれば、面白いと思いますが。