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また、バリューネットワークにもありますように、自分たちで何でもやらなければ気が済まないではなく、いろいろな人・形態で、お客さんのニーズにフォーカスを当ててビジネスを進めていくという考え方です。それを、「アジリティ」でスピード・アップしていく。そういう考え方が重要だと思います。モノ・商品・サービスのビジネスモデルとしてこういう方向が良いというのは、ないんじゃないでしょうか。それがあるとしたら、ぜひ教えていただきたい。やはり試行錯誤の結果だと思います。

 

B 例えば、MicrosoftとSunを比べると、全然違う戦略に思えるのですが。違うビジネスモデルが共存しているという解釈でいいですか。

 

緒方 いいと思います。ビジネスモデルとして、この中ではこれしかないというのはないと思います。ある範囲の中であっても、こういうビジネスモデルもあれば、また別のもある。お互いが共存しあえればいいわけです。これが共存しえないビジネスモデルでしたら戦うしかないですけど。

多くは偶然の産物というお話を先程しましたが、例えば、Microsoftが今あるのも、極論すると「偶然」の結果です。当時のIBMにOSを納品できたことがベースになっていますが、当時はキルドールという人が作成したCP/MというOSがPCの主流でした。最初IBMはキルドールに話を持っていったのですが、出張中等で話がうまく伝わらなかった。そこに、Microsoftがつけこんでと言っては悪いのですが、他社のOSを買い取ってIBM用に開発しました。Microsoftの発展の経緯はそこにあります。ですから、発端は非常に偶然そのものです。ただ、偶然の中から出来上がったものを積み上げていって、自分たちの成果にする。ここが非常にすばらしいところです。これはいけるというひらめきを、アジリティ豊かにどんどん展開しているわけです。それには、ビジネスモデルをいかに早く読み取り、必要なアクションを素早く起こしていくことが重要ではないかと思います。

もう一つ余談ですが、コンピュータのマウス。発明されたのが1960年代ですが、世の中にマウスが出てきたときには、もう特許が切れていました。開発者は特許収入が入っていません。その人はマウスを作りたかった訳ではなく、当時、人間とコンピュータがどう会話するかを研究するという「Augmentation」というプロジェクトがあり、その研究中に片手間でつくったのがマウスです。ですから、マウスも偶然の産物です。世の中に出た経緯も偶然の産物です。

 

 

 

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