本日のアジェンダの3番目のポイントである、「ビジネスモデルの役割」を整理します(資料17頁)。これまでの変化は改善型(Evolutional)でした。ところが、ビジネスモデルを通じた変化というのは、まさに競争ルールを変えますので、改革型(Revolutional)になります。また、今までの変化では(特に日本では)大手企業が動かないと世の中が変わらない。しかし、これからは「大手」ということはあまり関係がない。中小、または新規企業がキーになる。今までは、多少変化が起きても、それを吸収できる企業、つまり総合力がある方が有利でした。しかし、これからは「ブランド」が非常に重要なキーワードになります。総合力はあっても、ブランドがない企業は駄目になります。その反対に、総合力はなくてもブランド・パワーがあれば生きていけます。それぞれの項目に対し、このあたりをもう少しお話しします。
「改革型」の例ということで、新聞等で騒がれているLinuxをあげてみます(資料18頁)。Linuxは、リーナス・トーバルズというフィンランド人が開発したUNIX OSで、その開発の仕方は「オープンソース方式」と呼ばれています。MicrosoftのOSなどは、ソースコードがクローズされ外には出していないのに対し、Linuxはリーナス・トーバルズがOSのコアとなる部分をつくって、ネット上に載せオープンにしました。いろいろな人がそれに改善を加え、それをまたネット上に載せるという形で製品の改善が進められてきました。いくつかのルールはありますが、ネット上にオープンな形でソースを公開しています。それを元にして、Red Hat社などが、商用システムを提供しています。
この辺の事情を、Eric Raymond氏が「伽藍とバザール」という論文で発表して、注目を浴びています。似たような活動自体は昔からありましたが、LinuxがMicrosoftに脅威を与えています。何が脅威かと言いますと、Linuxはネットワーク上で公開されて開発されているため、開発者は全世界に散らばっています。Microsoftは原則的に社内にしか開発者がいません。Linuxは、ある意味でボランティアが開発しているようなものです。従って、開発コストも低くて済みます。
それから、Microsoft的やり方が否定されて、ボランティア経済に移行していることも一つの脅威です。ボランティアによってモノが出来上がり、商品として売り出されていく。そういうやり方がこれからは主流になるのではないかと、経済学関係の方も言われています。そこに移行すると「Microsoftは汚い」という風潮が出来てしまいます。
Red Hatは株式を公開しました。実は、そのあたりで未だぎくしゃくした点があります。