今までの、ビジネスモデルの事例をまとめます。企業(または産業)が進化する。これを進化論的アプローチと言いますが、そのとき、どういう道筋があるかということを、整理したものです(資料15頁)。それには三つあります。
一つは、提供するサービスや、商品そのものを進化させる。例えば、従来型テレビを供給していたが全く新しい進化したものに変える。それによって、企業を変えていこうという進化です。二つ目は、モノ・サービスを生み出すための「仕組み」を進化させ、それによって企業が変わるもの。ビジネスのやり方やプロセスを変えることで、企業が変革しようとすることに相当します。
そして、一番ダイナミックなのが、三つ目です。物やサービスを変えるのではなく、「競争のルール」そのものを変える。ビジネスモデルというのは、まさにここの部分です。ビジネスモデルを開発することは、そこでどうやって競争するかというルールまで変えてしまう。したがって、産業が変わるときの一つの大きな力になるといえます。ITはこれらの進化に対して支援を行うもの、つまり、企業が進化していくときに活用するツールがITであると言えます。
企業進化の例を、こちら(資料16頁)に挙げました。一つずつ取り上げていくときりがありませんが、既に触れたものも含まれます。amazon.comは、今までの書店というビジネスのイメージを全く変えてしまった。未だに赤字なのにあれだけ株価が高いのは、競争のルールを変えたどころか、経済の原則まで変えてしまったのではないかと思われます。今年も赤字が600億円などと言われています。CEOは、いつになったら黒字になるのかと聞かれて、2、3年後だと答えたそうですが、誰も信用していません。しかし、それで株価が下がるかといったらそうではなく、上がる一方です。
それから、United AirlinesがFFPという形で、個々のお客さんの情報をきちんと把握し、それによって、お客さんとのリレーションを変えてきました。VIP扱いのお客さんはチェックインした途端に、その人のお酒の好みや何やらが全部わかって、カウンターからフライトアテンダントまでその情報が行き渡り、それに対応したサービスが提供されます。似た例としては、AT&TはVIP扱いのお客さんに対しては、ディスカウントレートが全く違うとか、個々のお客さんに応じたいろいろなサービスを提供しています。