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これから注目した方がいいのかもしれません。もう一つ、注目すべきことを表の脚注で挙げました。US Postal Service (USPS)は、今まで郵便のサービスをしていましたが、電子メールこそ郵便を電子化するものということで、「電子郵便サービス」を志向しています。例えば、一般の電子メール・ソフトですと、消印機能がない、また、送達確認がメール・ソフトに付いていなかったりします。USPSは、このような消印機能や送達確認を有料で提供します。切手を貼るのと同じように、メールを出すといくらかお金がかかりますが、きちんと配達をしますというものです。このようなことは、郵政省がすぐに考えてもいい話です。これは、他のサービスにもインパクトを及ぼすようなビジネスモデルの一つの例です。

3番目の事例(資料13頁)ですが、これは電子商取引(EC)と言われているものです。通常、ECの世界は「B-to-B」(企業間の電子商取引)と、「B-to-C」(対消費者向けの電子商取引)の、大きく二つのカテゴリーに分かれます。本来、B-to-BのECはいろいろなビジネスモデルが考えられるはずなのですが、どうも日本のECはいびつです。何がいびつかというと、B-to-Cばかりに力点が置かれている。消費者に対してどのように電子商取引を展開しようかとという志向が非常に強い。それから、もう一つ、技術開発志向が強いことです。よく、役所が予算を付けていろいろな実験をしています。実験のための実験や、予算を消化するための実験等いろいろありますが、その中での力点は常に、セキュリティ技術を検証するとか、○○技術を開発してパイロットテストをする等といったものです。

もう一つの日本のECの問題点は、電子商取引でやろうとしていることが、ほとんど従来の産業区分に拘泥していることです。例えば、銀行、クレジット会社、メーカーの3者でB-to-Cをやろうとしているとします。そうなれば、メーカーはあくまで物をつくるもの、クレジット会社は決済をするもの、銀行はお金のやり取りをするもの、そのように頭が固まっている傾向が強い。ビジネスモデルですから、極論すると「何でもあり」の世界です。もちろん、法制度の問題もあろうかと思いますが、アメリカでのビジネスモデルには、いろいろなものが出てきています。

一つの例が、EncantoNetworks社という簡易ECサーバーの会社です。パソコンのサーバーですが、非常に安い値段で買えます。パソコンを立ち上げるといろいろな質問が出て、それに答えていくと、その日からECのサーバーが出来上がります。今日にでも、私がこのEncantoのサーバーを買ってきて、システムを立ち上げて質問に答えれば、もうホームページが出来上がり電子商取引がすぐにできるという訳です。

 

 

 

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