フリーPCモデルの3番目に、少し変わったものとして、「ネットワークサービス」とセットになったフリーPCがあります。NuAuctionは、PCを1万2000台配る代わりに、一定額以上のオークションヘの参加を義務づけるというものです。これは、eBayというネットワークサービス上の有名なオークション・サイトがありますが、そこに対抗する関係上、これで打って出たということです。
フリーPCといっても、このように異なる三つのモデルがあります。そして、要は何をしたいか、それによってどういうビジネスモデルをつくっていくのか、それによって大きくデザインが変わってきます。今の話でNuAuctionの場合、eBayと競争するための手段だとすれば、eBayと比べて1万2000台でオークションが本当に成り立つのか(当然、これは第2弾、第3弾と出てくるとは思いますが)。インターネット接続サービスの場合も、類似のフリーPCが数多く出てくると、消費者はどこで選別するかという問題が出てきます。どういうビジネスモデルで付加価値を付けていくのか、デザイン力による差が現れることになります。
二つ目の事例が、Webベースの電子メールです(資料12頁)。これは、最近トーンダウンしていますが、あえて挙げてあります。ご存じのように、一般に電子メールには専用のソフトを使います。この「Webベース電子メール」のコンセプトは、IE等のブラウザを利用して、電子メールを提供しているサイトに飛び込んでいく。そうすると、自分専用のメールボックスがある、という環境です。利点は、専用のメールソフトが要らない、ブラウザーさえあればいい(日本語化の問題もありますが、基本的にはブラウザーさえあれば見られます)。アメリカなどですと、パソコンを持ち歩かなくても、ホテルでインターネット接続が出来るところがあります。また、インターネット・カフェで、インターネットが1時間いくらで使えるという所もあります。そういう所へ行って、ブラウザーを使って自分のメール・アカウントを開け、取り出すことができます。
昨年ぐらいの数字ですが、加入者合計は700万人と言われています。しかし、無料の電子メールなので、登録だけしている人も結構います。ですから、実際に使っている人はあまりいないと思います。私自身もフリーの電子メールのアドレスを四つほど持っていますが、ほとんど使っていません。
今、申し上げたのは、ややトーンダウンしているビジネスモデルです。失敗したビジネスモデルと言っていいのかもしれません。ただ、注意すべきなのはMicrosoftがHotmailというベンダーを買収しています。