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必ずしも顧客とは限りません。お客に商品・サービスを提供したら、そこからお金を収集するというのが常識だったが、必ずしもそうではなくなった。それから、商品・サービスの価格体系をどのようにするのか、経費構造をどうするのかも重要です。お金の流れを中心としたビジネス全体の設計を「ビジネスモデル」と呼びます。

ビジネスモデルは、工夫次第で何とでもなります。極論すると「何でもあり」の世界です。ビジネスモデルの例ということで、これから事例を「フリーPC」「Webベースの電子メール」「B-to-B電子商取引」「ポータルサイト」この四つで説明したいと思います(資料10頁)。

まず、「フリーPC」ですが、このビジネスは最初はFree-PCという会社が、発表しました。Compaqのパソコン1万台を「ただ」で配るというものです。「ただ」というのは、当然何らかの代償が付きます。その代償というのが、この表(資料11頁)の「利用者の負担」に記述してあることです。最初のFree-PC社の代償は、利用者に月10時間程度の広告を見ることを義務づけることと、利用者の個人情報を集めることでした。では、お金はどこからとるかですが、Free-PC社の場合は広告収入という形でとります。これが最初の事例です。

最近、よく出てくるのが「インターネット接続サービス」です。インターネットの接続サービスとセットで、パソコンを無料で配るというものです。Direct Web、Gobi、その他、この「インターネット接続サービス」によるフリーPCが一番数が増えています。これは、パソコンを配るかわりに、インターネット接続サービスに加入してくださいというものです。これは、携帯電話のモデルです。携帯電話の端末機をただで配り、そのかわりに料金は通信料でもらうというモデルを、そのまま適用したものです。

この「インターネット接続サービス」によるフリーPCの場合にも、さらにいろいろなモデルがあります。もちろん、月額いくらというような料金の設定の違いがありますが、「その他」の欄に書いてあるように、それ以外の違いもあります。例えば、Direct Webは、サービス解約時にパソコンを返してくださいというもので、また加入時に預託金として150ドルをとります。それに対し、Gobi社は、3年間拘束して、途中で解約すると罰金が付きます。ただし、3年ごとにPCを自動的に最新のものに更新します。「インターネット接続サービス」によるフリーPCといっても、異なるビジネスモデルといえます。

 

 

 

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