日本財団 図書館


その辺を絵にしたのがこの図(資料7頁)です。これまでの企業の経営モデルは、この絵の上段に描いてあるようなものです。下請け・納入業者等がいて、それが企業に何らかの部品・サービスを納め、それが最終的に商品として顧客に提供される。顧客に商品・サービスが提供されるチャンネルとしては、店舗や営業マンなどの物理的なものを介していました。これが、下段のようなモデルに変わってきている。

一つは店舗、営業の部分が、コールセンターやWebサーバーとか、メーリング・リスト等、仮想的なものに変わってきている。こうなりますと、当然、お客とサービスを提供する側の関係が変わらざるを得ない。人の顔が見えないのもそうですし、今までは、営業マンの対応が悪いと、別の人の話を聞くこともできたのですが、コールセンターのようになりますと、電話をかけた相手が全てです。そこでの対応が悪いと、とてつもなく大変な問題になります。御存じのように、東芝はクレーム処理で大きく間違ったために、ネットワーク上にクレームが広がってしまった、そのような話が実際にある訳です。顧客と商品・サービスの提供者の間が、今まではリカバリーが効いたが、ネットワーク上になったために、そこが全てになってしまう可能性がある。このような意味あいで、この「顧客リレーションの変化」が出ています。

それから、企業自体がサイバー型に変わってきていることが挙げられます。サイバー型企業の典型例が、物理的なオフィスを持たない企業です。Amazon.comのように、彼らは書店という店舗は持っていません。あるいはPeapodというグロサリー・ストアがあります。これも店舗はネットワーク上にしかありません。ファースト・バーチャルという金融機関も店舗はそこにしかない。

従来型のビジネスをやっていたところが、サイバー型のビジネスを取り込んでくる。それも片手間にやるのではなくて、場合によっては、全面的にシフトしてしまう例も見られます。Charles Schwabという、オンラインのブローカーが、ネットワークビジネスを始めました。当初は今までの営業マンを通じたチャンネルと、ネットワーク上のチャンネルの二つを持っていましたが、その間でいろいろ摩擦がありました。ここが、アメリカの企業のダイナミックなところで、全てをネット上に切り替えてしまって、お客さん向けのサービスは、全部ネットワーク上のサービスに合わせてしまった。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION