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このように、いろいろな構造が出てきて、今までは「グローバル化」という視点では、ワールドパートナーズ、コンサート、グローバルワンという3本立てで走っていたのが崩れ始めてきている。これは、各社がグローバルなビジネスをどのように展開するか、特にどこと競争して、どこと協力していくのか、そういう部分が非常にダイナミックに動いているということの例です。逆の言い方をすると、今までは規制があったためにうまく整理されていたのが、規制がなくなってきたからダイナミックな動きが出ているということでもあります。これは先ほどの「鳥のモデル」で言いますと、うわっと向きを変えつつあるところだと思われます。

「ITがもたらす変革」という意味でのもう一つ大きな視点は、ITを使っている企業、つまり、「ユーザー企業の側にもたらす変革」があります(資料6頁)。ポイントだけを整理すると、サイバー型企業が出てきているという点がまず挙げられます。ネットワーク上にしかない会社、あるいは、従来型の企業でも、ネットワークを充分に意識しないとできないビジネスにシフトし始めている、ということになります。それから、2番目に顧客リレーションの変化、つまり、顧客と企業との関係が変わってきています。

3番目のポイントは、今までも、よく「顧客満足」ということで、お客さんをかなり意識していましたが、これからは本当の意味で、お客さんというものを真剣に考えないと競争できないことになります。それから、今まで「バリューチェーン(価値連鎖)」という言葉がありましたが、それが「バリューネットワーク」という言葉に変わりつつある、いや、もう既に変わっていると言っていいと思います。バリューチェーンというのは、企業が鎖状にいろいろな付加価値を付けて、お客さんにバリューを提供していくという考え方です。それが、企業間のネットワークを通じて、お客さんに何らかの商品・サービスを提供する形に変わってきています。そして、最後の、これが一番重要なポイントですが、「ブランドパワーによる競争」も変革の一つです。一言で言うと、今まで「企業の信用力」と言っていたものが、もう少し仮想的なイメージですが、「ブランド」という言葉に変わってきている。ブランドが確立されていない総合企業であれば、何の意味もないということです。

例えば、オンライン・ショッピングがあります。オンラインで、私が何か商品を買うとします。その時、相手の企業の顔が私には見えません。そうなりますと、パソコンを買うとしてもいろいろと値段を比較して買いますが、どこから買うかと言ったら、結局、信用という言葉をもう少し拡大した、「ブランド」に基づいて買わざるを得なくなる。ネットワーク社会ではブランドが非常に重要なイメージを持っているということです。

 

 

 

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