資料7
日本のNPOの現状について
1999年8月26日
シーズ=市民活動を支える制度をつくる会
事務局長 松原明
1. 日米で「NPO」という時には大きな認識の違いがあります
・日本において、NPOに関しては、主に次の3通りの意味が使われます。
1] 広義の理解で、宗教法人、社会福祉法人、社団法人、財団法人、私立学校法人、医療法人、特定非営利活動法人(NPO法人)、ボランティア団体など、すべての「営利を目的としない公益団体」を言う場合。
2] 狭義の理解で、ボランティア団体や市民活動団体といわれる団体のみを言う場合。
3] さらに狭義の理解で、特定非営利活動法人(NPO法人)になった団体のみをいう場合。
この3つの異なった理解が、それが様々な誤解を生んでいます。
・米国でNPOというと、主に2通りの意味があります。
(1) 広義の意味で、連邦税法501Cに登録された非課税団体全体を指す場合。すなわち、(1)特殊法人、宗教法人、学校、病院、業界団体、共済組合、年金基金、農協機関などを含めた団体すべてをいう場合。(約113万団体)
(2) 狭義の意味で、寄付金控除の対象となる慈善団体を指す場合。しかし、この場合でも、一部の宗教法人、学校、病院(全病院の約半数)、社会福祉団体があります。(約65万団体)
・米国では、日本のNPO(市民活動団体、ボランティア団体)に相当するカテゴリーはありません。日本における(1)が、米国における2]に相当します。
・しばしば、「米国では、NPOが、GDPの7%を生みだし、全有給就業者の7.8%を雇用している。」と言われますが、これは、社会福祉法人、財団法人、社団法人、学校法人、医療法人などを含めた2]のNPO(ただし宗教法人は除く)の数字です。
・日本のボランティア団体や市民活動団体といわれる団体(つまり2])は、約8万6千団体あります。(1997年経済企画庁調査)
このうち、ボランティアや市民活動団体といわれる団体で、現在NPO法における法人格を申請している団体は1104団体、法人認証を受けた団体は、444団体でしかありません。(8月20日時点)
・介護や福祉という事業部門では、社会福祉法人の役割や公益法人の役割も大きなものもあります。また、それ以外の分野(環境、まちづくりなど)でも、公益法人が大きな役割を果たしている分野もあります。また、これらの法人にもボランティアが多数参加している団体もあります。
ボランティア団体といえども、実際には、法人の形態は様々です。