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もしくは、逆に言えば、これはよく流布されている話ですが、税の使途を多様化するんだ。つまり、国に納めるのではなしに民間のNPOに納めることによってやっていくんだという議論もあります。しかし、これは私から見れば、税というのは、やっぱり国のミニマムの仕事をやってくれという、強制的に取るお金ですよね。これを民間側と行政側に分けるということは、NPOの仕事はやはり行政の一端だという認識を広めるという議論にしか思えなくて、むしろアメリカなんかの、これはどういうことなんですかと聞いたときに、税の優遇制度の法的な立法方針は何かといえば、民間がそういういろいろな市民サービスをしていくことに対して、行政としてもインセンティブを与えているというインセンティブ料なんですね。

これは、もう一つ近いところで言えば、政治資金に関する寄付控除ってあります。あれもインセンティブ論で、要は民主主義にとって政治の多元化、すそ野の多様化は非常に重要であると。その基盤を提供するのが国家の役割であると。いろいろな政党が出ても、その政党の主義・主張にかかわりなく、寄付の税の優遇制度があると。それは、そういう多様な言論を保証するためにあるんだという、言論の自由のためのインセンティブ論なんですね。NPOに対しても、そういうインセンティブ論を確立していく。その中で税の優遇制度をつくっていく必要があるというふうに私は考えています。

 

D まだまだ、そういう意味ではきちんと議論が…。

 

松原 なっていない。非常に大ざっぱな議論しかなされていないんで、歯がゆい限りだというところですね。

 

D 確かにシーズは、最初の戦略として、とりあえずそういうのは置いておいてNPOをつくろうというのはあったと思うんですけれども、ここまで来た段階で次にお金となったときは、この問題が非常に深くかかわっているので、とりあえず、ある程度は達成したので、次はここを視野に入れながらやるというのは、ぜひ考えて…。

 

松原 というか、シーズはずっとそれでやってきた。だから、今回のNPO法でも「公益性」という言葉は、絶対、協議条項だったんです。ほかの要件は少々目をつぶっても、NPO法人が公益性という言葉で表わされて、要は、その公益は行政が認める公益性だとした時点で、うちはその法律は反対だとやっていたわけですから、これはのめないところなんですね。

 

D だとしたら、あとは次の展開の仕方ですね。

 

 

 

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