そういう意味では、日本のNPOの今後の発展をにらむなら、お金がもうかるかもうからないかという以上に、寄付の優遇税制を使いこなしていける、また、それができてくるということが大事だというふうに考えています。
B 個人の寄付と企業の寄付の場合、日本は、企業の寄付のパーセンテージの占める割合が非常に高いというふうに伺っているんですが、今、松原さんのおっしゃった意味は非常によくわかるんですが、実際にNPOの方たちがどちらの優先順位が高いかというときには、その企業の寄付の優遇を求める声というのは非常に高いのではないでしょうか。その辺は、どう合意する形になりましょうか。
松原 これは、統計をとっていないのでわからないのですが、必ずしも企業が高いというわけではありません。これは、いろいろな話をしていくと、最終的に、シーズの中で何回も議論はしているんですが、お互いにノウハウを紹介し合えばいいという結論になるんですね。
企業の寄付のニーズが高いというのは、なぜ高いかというと、企業のほうが、きっと簡単に名前がわかって、しかも労力が少なくて大きな額をくれるだろうという期待があるんですが、じゃあ、本当に企業の寄付を集めて回っている人の経験談を聞けば、そうじゃないよということも実際にはわかるんですね。だから、そこは経験の交流さえあれば、かなりわかるだろうと思います。
それから企業に関して言えば、これはちょっと専門的な話になりますが、一般企業向けの控除枠があるわけですね。つまり、今でもだれに出しても控除できる枠があって、それを使い切っていないという現状があるわけですね。一般企業向けの控除枠がなくなるんだったら、かなり企業の控除制度というのを考えなきゃいけないわけですが、まだそれぐらいの段階で、つまり枠があるにもかかわらず使い切っていないし、引き出し切れていないわけですよ。
じゃあ、各団体が引き出しに行っているのかという話ですね。そういう話を詰めていくと、やっぱりそれは、そうか、行ってもだめだからというケースもいっぱい出てくるわけですね。それから企業としても、実際、こういう情報公開をすると、企業というのも、しょせん、最終的には個人の集まりであるという話になってきて、個人の理解がない中で企業の理解は取れないよという話も紹介されるんですよね。