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公立学校という場合、日本の場合、行政がつくったのが公立学校。イギリスなんかは、パブリック・スクールといえば、パブリックというのはだれでも入れる学校。行政がつくろうと、私がつくろうと、パブリック・スクールは、みんな入ってくださいというのがパブリック・スクールですね。パブってありますけど、あれ、パブリック・ハウスってありますね。あれは、みんなが入れる居酒屋。あれは、クラブに対してパブなんですね。そういうふうに、パブリックの概念が日本のパブリックと違う。

NPOというのは、さっき二つのトレンドがあると言いましたが、行政のアウトソーシングというトレンドからすれば、やはり公益性というのは、行政が決めるというのは一つのトレンドになるだろう。価値の多元性、市民主権ということを考えれば、これは、むしろそれに広く市民の支持を得ているとか、市民が参加しやすい、非排除性ですよね。そういうところに焦点を置かれるだろう。ここは、NPOの税制を考えるときの大きなポイントになるだろう。ここで、一つ議論をしなきゃいけないというふうに考えています。ちょっと長くなりましたが。

 

A 今、税制に関して二通りおっしゃったと思うんです。寄付に対する問題と、それから所得に関する一般的に言われている法人税と呼ばれている問題ですが、これを一遍に通そうとしているのか、もしくはどちらかを先にしようとしているのか。その場合に、作戦としてどちらがとりやすいとお考えになっていますか。

 

松原 それは多ければ多いほうがいいので、最初は、もちろん一遍に全部とは思いますが、改正する法律がみんな違うんですね。改正する場所が違いますし、コンセプトも違うんです。そういう意味から言えば、全部一遍にできればいいですが、まず一番優先したいなと考えている、しかも、今回のアンケートを見てもそうですが、一番優先順位が高いなと考えたのは寄付の控除です。しかも、個人の寄付の控除。ただし、これは今からディスカッションしての結果ですが、今、うちの中では、これを優先順位の第一に置いています。

その考えは、まずNPOというのは、やっぱり多くの人の支持があって成り立つものである。事業でも、それは確かに、利益を得れば得たほうがお金を得るのは同じだといっても、NPOは、まず多くの人の支持の下にきちっと基礎づけていくという作業が必要だと。特に日本のNPOに関して言えば、信用がないというのが一番のポイントとして出てきますから、信用をつけるには、やっぱり寄付をもらえるような土壌というのをきちっとつくっていく必要があると思っています。

 

 

 

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