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公益性を担保する仕組み、パブリック・ベネフィットを担保する仕組みというのをどうつくるか。これは、多分、日本社会では、NPOに対してやろうとすれば二つのアプローチがあると思います。

一つは、従来の公益性概念。つまり、行政が公益と考えるものは公益であると。今の特定公益増進法人というのはまさにそうで、これは公益性があるよと推薦して、大蔵省が認めれば特定公益増進法人になれるという仕組みになっています。公益の認定要件は非常によくわからない、不透明、グレーです。

それに対して新しい公益制度概念をつくることができるかというのは、市民団体の問いかけです。つまり、役所が公益性をコントロールするのではなく、市民側が公益性という概念を新しくつくれるか。

それに関して言えば、アメリカの例というは結構参考になるというふうに思っています。アメリカというのは、公益性に関して言えば、役所が判断するという以上に違う基準をつくっています。公益性をどういうふうに見ているかという場合、四つの視点から見ています。一つは、法律の中では、まず団体の資質。お金を出す先の公益性ということで、法律の中で公益性と認められた分野というのを挙げていて、その分野に対して、全体の支出が85%以上支出されていれば、まず事業目的に関しては公益性があるだろうと。こういった数値的なことをうたっている。

次に収入の公益性というのがあります。これも幾つかの基準があるので、その代表的なのを一つだけやりますが、パブリック・サポート・テストというのがありまして、これは、収入源のうち寄付とか会費とか政府の補助金、助成金で入ってくる金額が、その全体の金額の3分の1以上を占めていること。なおかつ、寄付とか会費で入ってくる分に関して言えば、分母の、つまりある個人がドーンと高額のお金を出しても、そのお金のうち、その分子に組み入れられるのは、分母の2%までという頭打ち制度があるんです。ちょっとわかりにくいですけど、要はどうしなきゃいけないかというと、広く薄くから寄付とか会費を集めないとテストで動かせない。

あとは団体の運営の規則の公益性ということで、それは特定の人の利害にならないようにいろいろな規則を決めているかどうかということと、あとは団体の公開性ですね。この考え方というのは、パブリックの概念がかなり違うなということです。日本で、特に象徴的なのがパブリック・スクールですね。

 

 

 

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