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つまりNPOというのは寄付で立っているんだ。寄付金控除の仕組みがあれば、寄付が自動的に集まってくるんだという、こういうかなりの錯覚があるのは、日々、話して感じます。この錯覚をどうするかなんですね。この錯覚を取って世論を喚起して、税の優遇制度をつくっていくのか。それとも、少しシビアに考えていくべきなのかと。これが、まず第一の問題です。

それから税の優遇制度に関しては、世論もつくっていこうという気なので、NPO団体側でも、NPO法の法人制度、税制優遇制度に関する改革のための連絡会というのをつくって、今年の6月から動いています。動いて世論喚起をしていこうということなんですが、一つ、大きな議論になっているのは、どういう税制をつくればいいのか。単に税の優遇制度といってもいろいろな寄付があるんですね。一つは、個人からの寄付。もう一つは企業からの寄付。それから不動産とかそういうものの寄付。これは、まず団体によって違うんですね。広く薄くお金を集めるというふうな国際協力型というのは、個人からの寄付がいい。ナショナル・トラストみたいなのをやっている団体だったら、絶対財産の寄付だ、不動産の寄付だ、これが第一である。さらにまた、NPOにとっては、事業で成り立っている団体がありまして、事業で成り立っている団体で言えば、税制優遇になれば、収益事業の課税の軽減である。だから、今、NPOの団体で言えば、寄付の控除であるという中と、寄付の控除も、企業がいいというのと個人がいいと言っているのが分かれていて、さらに収益事業の課税を軽減してほしいと。それから財産の寄贈がいいと言っていただきたいと、三つから四つに分かれちゃうんです。これの間の優先順位というのを、民間側でどうつけていけるのか。つまり、どうやってNPO団体側が仲たがいせずにコンセンサスをつくり上げられるか。

もう一つは、NPOの寄付の税制というのは、法人になった段階で全部寄付なり税の優遇制度が取れるとは思っていませんから、もう一段階、つまり二段階になるだろう。NPO法人があって、さらに税の優遇制度を受けるのはもう一段階。認定を受けた二段階目になるだろうというふうに考えているんですが、その認定の基準、認定の方法、これをどうするかというのは大きな問題です。認定の基準に関して言えば、一番大きな問題が公益性という言葉です。

1999年2月3日に、宮沢大蔵大臣が国会での答弁で答えたNPOの税制に関しては、実態を見守りつつ、公益性を担保する仕組みを検討しながら、その実現について考えたいと言っています。

 

 

 

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