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それから3番。これが、さらにNPO側のメリット、公益法人の制度全体が、今、揺らいでいるという状況があります。まず民法34条の改正ということが検討されていて、これは、1999年秋ぐらいに試案が出るというふうに言われているんですけど、今でも音さたなしです。「公益法人整理に『中間法人』」(朝日新聞1999年11月28日)という記事で、これは民法に規定へ移行を促すということで、公益法人自体が二つの調整を受けています。一つは業界団体が多い。つまり中間法人、共益団体が多い。本当に公益かということで、これをそのままにしておくんですかという議論が一つ。

もう一つは、公益法人が行政の隠れ事業になっている。つまり、許認可権を持っている行政が、公益法人制度を利用していろいろ資格制度ですとか、ある特定の事業を独占しているじゃないかという規制緩和に関する議論があります。この二つのトレンドが強くて、公益法人制度全体を見直そう。これ、民法自体は中間法人をつくろうという動きですが、これはずっと法相の諮問機関で、今でも動いています。結論はいつ出るか。秋に出ると言われていますけど、出るかどうかちょっとわからないですが、一つ、こういう動きがある。

もう一つは、日本のNPOの仕組みというのは、旧来、社会主義だと言われてきたんですね。つまり政府が非常にコントロールしている。コントロールの仕方が、二つの規制によって成り立っていると言われていました。一つは団体規制。つまり、団体自体が法人格を得る時点で規制する。それから、もう一つは事業規制。この事業は何をやっていいかを規制する。日本のNPOに関して言えば、この団体規制と事業規制がセットになっているわけです。

どういうことかというと、社会福祉事業法を見てもらったらわかるように、社会福祉事業法というところで、保育園とか老人ホームとかそういうのをやる場合には、まず行政の認可が要る。認可を得るためには、まず法人認可が要ると。社会福祉法人にならなきゃいけない。つまり法人として認可を得た上で、やっと事業ができると。法人の仕組みと事業の仕組みがセットになっているわけです。医療法も一緒です。医療をやるには、医師でなきゃいけないとありますけど、法人の場合は医療法人もしくは公益法人というふうに、法人と事業とがセットになっていて規制をしていたという仕組みだったんです。

これが、今、大きく揺らいでいます。その突破口になっているのは介護保険の制度です。介護保険は、介護保険制度というのをやるには別に企業でもいい、NPOでもいい、医療法人でもいいし生協でも何でもいいと、参入権を多様化しました。

 

 

 

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