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ところが、どうも政策決定過程を見ると、その8万6,000団体=NPO法人というふうなとらえ方をされたようで、かなり混同しているなというふうに思います。

もしくは、これで補助金を出そうということで、私は、今回の雇用制度のもろの反対派ではないんですが、懸念派なんで懸念として言うのは、先ほどの調査からすると、特に法人になった団体は、新しくて若いんですね。自分で自立していって事業をつくっていく道をあまり知らない。そこに補助金が流れるようになると、補助金に依存する団体というのが多数出てくるだろうと思うのです。もしくは、これはもう既に幾つも出だしているんですが、補助金目当ての団体が出てくるだろう。そういう団体に補助金を出し始めると、これは補助金なしではそういう団体は回らない。延々と補助金が必要になるという、そういう悪循環を招く結果になりかねないという危惧はしています。従って、かなりこの辺、NPO法の申請をする団体の実態と考えると、悩みの多いところになってくるだろうと思います。

今まではちょっと個別の事例で話してきたんですが、時間もないので短めにやりますと、大きなところは、NPO法を取り巻く大きな二つのトレンドがあって、その中で拮抗しているのがこのNPO法人、もしくはNPOの制度だろう。一つは、民営化・行政のアウトソーシングのトレンド。つまり地方分権が進む、それから公共サービスのニーズが多様化してきて、量も増えてくる。この中で、行政がポスト福祉国家ということをにらんで、自らのサービス自体をアウトソーシングする、もしくは外部で担ってもらうという形をとっている。その場合に、その相手としてNPOを見ていく。

NPO法というのは非常に変わった法律なんですね。NPO法人もそうです。行政も期待している、政治も期待している、市民も期待している。みんな期待しているけど、期待しているものは全然違う。そういう呉越同舟の中に成り立ったNPO法です。

その一つ期待しているのは、例えば介護をやってくれるんじゃないか。あるいはサービスをやってくれるんじゃないか。それから、行政が担えない分をどんどん箕面のようにアウトソーシングできて、低コストでやってくれるんじゃないかという期待が出てきます。

もう一つのニーズが、市民主権・多元的価値社会へのトレンドということで、むしろ社会の多元性を強めていこう。それから、市民の自治を強めていこうというトレンドからNPOを見ている。

 

 

 

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