日本財団 図書館


NPOになる団体、つまり任意団体は、もちろんずっと歴史のある団体、戦後、ずっとできた団体がたくさんありますが、今回、調査して驚いたのは、1990年以降に設立された団体が303団体。回答が402団体だったので、全体の74%。4団体に3つは90年代の設立だということです。それから95年以降、つまり阪神・淡路大震災以降に設立された団体が228団体ということで、全体の57%。つまり、今回、NPO法人に申請した団体は、圧倒的に新しい団体が多い。

「日経新聞」1999年8月14日付けの記事には、「NPO法人、保健・福祉分野が3分の2」とあります。これはシーズの調査と同じ結果を出していますが、中見出しには「悩みは活動資金不足」とあります。NPOだと、もちろんお金の問題はいつも悩みの種ですが、今回、活動資金、この右側にグラフがありますね。活動資金が不足、不安定。会員や実働メンバーが不足というのが非常に多いということですね。

シーズの調査でも、「申請に当たってどういう書類をつくるのが大変でしたか」というところで聞いたところによると、最初に16種類の書類を出すんですが、一番難しかったのは定款。つまり、団体の組織の規約をつくるのが難しかった。これは、法律の規定にのっとらなきゃいけないのでよくわかるんですが。次に出てきたのが収支予算書。事業計画書をつくらなきゃいけないから、これが非常に難しかった。実際にアンケートの声をとっても、「事業を始めたばかりで予算なんか立てられません」とか、「事業計画というのは立てた経験がありません」とかいう団体が結構ありました。

つまりどういうことかというと、NPO団体というのはそれぞれ実績を積んで、一定程度、経験を経てやっていく団体というのが結構あるんですが、今回のNPO法人になった団体に限って言えば、圧倒的に新しくて未経験というか経験の浅い団体が多い。従って法人運営の仕方を知らない、団体運営の仕方を知らない。それからNPO活動についても、よくわからない団体が多数ある。

さらに、後でも言いますが、そういう傾向が強まっているということだと思います。一つは、特にこの90年代に入ってから介護保険の流れもありまして、福祉も民間が担うんだ、介護をやっていくんだという流れもあるんですが、ただし法人だったら介護ができるんだとか、介護保険の適用になれるんだとか、割とそういう誤解になっている団体が結構ある。それと、NPO法人になったら格好いいという、そういう誤解も一方である。それから、企業からとか組合からの参入が結構多いんですね。おもしろいのは、例えば九州で、ラーメン業組合の方が、九州ラーメン党というNPO法人を成立した。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION