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第2部 巻末資料

 

東京財団第9回研究セミナー

1999年7月9日

 

日本の外交・安全保障戦略を考える

防衛大学校助教授 神谷万丈

 

1. 日本が直面している外交・安全保障上の課題

・北朝鮮問題

・日露関係

→これらは重要ではあっても日本にとっての根本的課題ではないより重要なのは―

・日米関係

・日米中関係

・アジア太平洋で、そして世界でいかにして敬意を払われる国になり、“co-optivepower”を高めていくかということ

→いずれも鍵となるのは、日本が自立性を回復すること

 

2. 日本の外交・安全保障政策−何が問題か

・自立した日本が自らの進路は自らが決めるのだという気概がない

・日本人が日本をどのような国にしたいのかという明確なイメージを持っていない

・健全なナショナリズムや国益意識の欠如

→おそらくはそうしたことの結果−

・目的意識の欠如

→手段論ばかりで目標論がない

・自立していない日本の姿に対するいらだちはある

・日本にとって幸運であるように見えて実は不運なのは、自立した日本が自らの進路をあらためて決定したとしても、最も合理的な選択の結果は、実は現在日本が採用しているものと基本的には同じになるということ=日米同盟基軸路線

 

3. なぜ自立心や目的意識がなくなってしまったのか

・戦後日本の国家戦略の特異な性格

・日米安保体制の成功

・戦後日本におけるナショナリズムの抑圧

・戦後日本人の国際的パワー・ポリティクスからの逃避

→目標としての平和国家(憲法9条の神聖不可侵化)と国際協調

→しかし、平和も国際協調も、それ自体は無内容

・手段における「平和国家」と目的における「平和国家」

 

 

 

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