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私の乏しい軍事知識によれば、全く能力がないということはない。ただし、リライアブルか、確実にやっつけることができるかと言われると、非常に軍事的には怪しい。だから、能力はあるけれどあやふやだ、そんなぐらいしかないのではないかと思います。

これは、専守防衛ということのある種必然的な帰結で、どうも日本の専守防衛とか、憲法9条とか、あるいは憲法全体が北朝鮮みたいな国を前提していないんです。ああいう国が出てくると、お手上げになっちゃう。何しろあれは、平和を愛好する諸国民の公正にどうこうしているのであって、ああいうとんでもないやつが現れると、これはかなり大まじめな話、専守防衛はつらいなというところはどうしても出てくるように思います。

 

D これまでは、確かに東西冷戦の中で、そう小さいのはなかったんだけれども、地域紛争の時代だと言われてますから逆に出てくるとしたら、ああいうやつのほうが可能性としては、固まっている。

 

神谷 ただ日本は、海に囲まれてますのであまりそういうのが直接来ないんですね。

 

F 今、先生がおっしゃったのは、大体その通りであります。北朝鮮に対しての対抗力は、おっしゃるようにミサイルが直接飛んでくるのをどう防ぐかということに対しては一部的に欠落をしているところがございます。あと、北朝鮮が攻めてこられるかというと、それだけの能力はありません。

それから、3日しか戦えない分しかなくて、あとは米軍に期待をするということでした。考え方としては、1997年に新しい防衛大綱を作りましたので、それより前の大綱の考え方はいわゆる小規模限定、独力対処という一つの考え方を持ってました。小規模のものについては日本が持ちこたえる。それを越えるものについては米軍の来援を待って反撃をするという一つの考え方の元に防衛力を整備してきました。

ところが冷戦が終わりまして新しく防衛計画の大綱を作ったときに、そういう考えはなくしまして、最初の段階から米軍と行動を共にするんだということで、それを具現化するためには従来ガイドラインがあったんですが、ガイドラインを変えなければいけない。そこで日米防衛協力の指針が新たに作成されました。現在、そういう考え方の下にいろいろな計画を作っているところです。

 

神谷 どうもありがとうございました。非常にわかりやすくなってよかったと思います。

 

 

 

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