そういう態度を取られるのはまことに不愉快なことであります。中国がそういう態度を取り続けていられる一つの原因は、日本に軍事力がないからだということに多分なるんだと思います。だから、軍事力を持てと言ってしまえば簡単です。しかし、いやそれは持とうと思えば持てるんですけれど、うちは持ちたくない。でも、あまりひどいことを言われると、持たなきゃいけなくなるかもしれませんねと言ってみせるのがいいかという話で、そういうソフトな脅迫は外交技術が伴えば可能だと思いますけれど、外交官の方にお聞きしたいところです。今の話で、日本の中国派というんですか、あれにはいささか、私もいらいらするところもありまして。
D 彼は、変えたいんだと言ってます。
神谷 そうですか。中国派の人が本当はそういうふうに言ってくれなきゃ困るのではないか。日本として、何も中国と敵対したいわけではない。できれば仲よくしたい。それから、中国が望まない(日本の)軍事大国化は、日本もどうもあまり好ましくないことだとは思っていないということ。しかしそれが故に、いつまでも見下されるようなことが続くと、ちょっと持ちませんよと言っていく。それですぐに問題が解決するほど、世の中甘いと私は思っていませんが、でも、その辺が一つの糸口にはなるのではないかと思います。こういう話をすると、私にそれほど経験があるわけではないですけれど、国際会議の席で中国の人は答えません。何だかちょっと困ったような顔をしているという経験がございます。
D 言葉をはさんで申し訳ないですが、中国のほうは、欧米と同じで、大国になれば、当然、軍事にいって大国になるというイメージがあるから、日本はなるだろう。それを抑えて、一生懸命圧力を掛けようとしているわけだけど、こちらがそんな気はないのに、そういうふうに言われると、やはり持たないといけないかと逆効果ですと言ってるんです。
神谷 日米同盟についても、強化しないでくれと言う。こっちも軍事大国になる気はないけど、その前提は、やっぱり今のところは日米同盟の維持・強化ということなんでしょうか。他に道があるなら教えてくださいという話です。その日米同盟がいけない。しかも、軍事力も大国になるなと言われてもそれは話が無茶じゃないですかということを私も申しております。