ただ、今までは、繰り返しますが、日本は大国だけれど、伝統的な大国の路線は行きたくない、そういう願望は確かに、非常によく読み取れたんですけれども、それを国際的に受け入れられる形で、日本がそうなるべき必然性、あるいは正当性を提示した議論が、少ないように思います。そういう道を一つ言おうとしているつもりですが、もうちょっと頑張ります。
D 東アジアの話をされたので、そのことで質問させていただきます。最初のところ、北朝鮮との付き合い方で、日本と北朝鮮との関係で、北朝鮮のほうが得るものが多いわけだから日本のスタンスだというふうにおっしゃいました。それは、バリで見ればそうですけれども、今、日米韓の協調体制というところで、どうも韓米の方はなだめてなだめてという方式で行く。なぜ、なだめるかと言うとお金だと。そうすると、日本を使えというところがあって、日米韓の協調と、日朝の二国間関係がかなりズレが生じつつあると感じるのが1点。
それから、まさに日本の役割について朝鮮半島、中国が難しい。それを越えるところに行けばということですが、まさに中国があって、外務省の中国派の中に私の友人がいて、いつも揶揄するんです。彼が言うには、中国の戦略ははっきりしている。日本の影響力の拡大をいかに抑えるかに徹底している。そうすると、そういうことに対抗するために、先生のおっしゃっている話で通じるのか。もう少し、目には目を歯には歯を的なところも必要ではないかという見方もあると思います。日本がこういういき方をするには、場所が悪かった、ヨーロッパで語らなければという気はしますがいかがでしょう。
神谷 北朝鮮を巡って日米韓に思惑のズレがあるというのはまさにその通りです。例えば去年、テポドンが発射されで2週間目ぐらいでしょうか。ガルーチ大使が日本に来て、たまたまある会合で、昼飯を食べながら討論した。そのときに驚きましたのは、私はアメリカはやっぱり核が大事だと思っているでしょうと申し上げた。当時、地下施設の話がアメリカでは随分話題になっていたんですが、日本では、まだほとんど報道もなかったんです。アメリカ地下施設のことが第一のようだけど、日本では地下施設なんて新聞にもほとんど出ていなくて何と言ってもテポドンですよと言ったら、ガルーチ大使と大使館の公使がかなり本格的に驚いていた。へえ、そうなのかという反応を示して、わざわざ後で私としゃべりに来てくれたので今度はこっちがびっくりして、そんなことに気が付いてないのかと思った。