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某政府も繰り返すように思います。

でも、本当は何か国として目指すものがあって、それを目指す上で協調できるのか、できないのかというのを判断するところが重要になってくる場合も多いはずなので、やはり目標論がない。ないと言うとちょっと言い過ぎですけれども、希薄だということは多くの場合言えるのではないか。

あるいは、援助政策を見てもたくさん金を出している。そして、一部の人が全然役に立ってないとか逆効果だとか論じていますが、それは言い過ぎで、多くの場合、確かに現地では役に立っている。しかし、全体として見ると何のためにたくさん金を出しているのか、日本人にわからないくらいだから、多分、よその国の人にはもっとわからないだろう。こういった話は枚挙にいとまがないわけです。日本の場合は、単なる決まり文句と言う以上に、外交とか、エクスターナル・ポリシー(external policy)です、外交、安全保障をくくれば。この分野では目標意識はないのではないかと思います。

 

E 単純な質問です。今、ノルウェーとかスウェーデンを例に出しておられました。コソボのNATOの攻撃については、ノルウェー含めて賛成をして、加害の立場を共有したと思います。つまり、尊敬される国であってもやるときはやるんです。だけど、先生のお話でいくと、軍事中級大国という立場でありながらあえて非軍事的な役割という理由は何でしょう。

ということは、冷戦の時代だと別な問題だと思いますが、今の時代になるとかなりグローバルな規模でものを考えなくちゃいかんということは必要になっているわけです。そうすると、場合によっては別に私は小沢さんと同じではないんですけど、結果的には同じ立場を取る必要が出てくるのではないかと思っているわけです。

コソボのように、ある面でいくと戦後の社会秩序を崩そうとする明らかな国連中心主義に対する挑戦だと思います。国連抜きでやるからにはね。そういう意味では、世界史的に見直しが始まっていると思います。そういう中で先生は、あえて非軍事的な役割を目指さなくちゃいかんという理由がはっきりしない。

 

神谷 ちょっと言葉が足らなかったと思います。非軍事的役割を主にするということであって、軍事的な側面をしないということとはちょっと違う。ただ、大国というのは当然、軍事的役割が非常に大きい。そういうのがこれまでの国際常識であるところ、その部分については自主的に上限を設けているような、国力からするともっとできなくもないけれど、そこにある主の限界を設定している大国というものがあり得ないか。

 

 

 

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