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まさに、憲法9条は、日本がこれから、どういう大国になるかを分ける根本的な規定になると思います。ところで、日本について大国大国と言っていますが、話は脱線いたしますけれども、島田晴雄先生の説によると日本が高度経済成長したのは長嶋がデビューしてから引退するまでの間の17年だと、正確な年数はちょっと忘れましたが。その伝でいうと17年間もたもたしていると、大したことない国に戻るという話を、4年ぐらい前にとあるところでされたのを聞いて、皆でああそうですかと言って笑っていたんです。それからまた4年経って、すでに8年ぐらい経ったんじゃないでしょうか。

だから、あと8〜9年もたもたしていると、日本はあまり大国でもないしどうってことない国で、尊敬も何もないなあということになるかもしれませんが、そういう悲しいことにはならないと仮定した場合に、「普通の大国」になるかそうでない道を選ぶかを分ける根本的な規定になると思います。そこについて、日本人が考え方をはっきりさせるということはどうしても必要なことなのではないかと思います。

極端な、変な解釈をしない限り、憲法9条で言っていることにはいいことが多いというのは、私の個人的な考えです。要するに侵略戦争をしない、勝手に武力を使わないというのは、ある意味では今や国際的な共通の規範ですから、それをうたっておくというのはいいことであると思います。

大国がそういうものを尊重することを特に前面に押し出すことも、もし他国にうまく受け入れてもらえるならば意味がある。ただしそれを日本が勝手に独り善がりでいくら言ったって、何の意味もないという気がしております。

 

C 神谷先生の話、大変面白かったんですけれども、僕、神谷先生よりちょっと年上だと思います。従って、ちょっと感じが違うんです。質問じゃなく、感想というか、先生のコメントもあれば、ほしいんです。

一つは、自立した日本とか手段論ばかりで目標がないという議論ですが、自立した国で自分たちの進路は自分たちで決めるという気概を持っている国がそんなにあるんだろうかという気がします。アメリカと中国とフランスぐらいかなというのが僕の感覚です。間違っていたらごめんなさい。

もう一つは、手段ばかりで目標がないということも、しょせんは安全保障とか外交とか手段であって、むしろ国際協調が手段でなく目的化しているという先生のご指摘もあるように、例えば憲法も、われわれのツールであるはずなんだけど目的化しているというところで、話が逆の面もあるような気もします。

 

 

 

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