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神谷 これは、議論はあり得るところですけれども、日本が軍事的にはミドル・パワーである大国を目指すという話は、日本をどういう国にしたいかという話ですから、私はオペレーショナル・ゴールよりももっと高位の目標であると考えています。もしかすると、一番根本目標かもしれない。日本人が本気でこうしたいのであればですけど。私は、こうしたいという人が多いように思うし、自分としても、日本がミニ・アメリカになればいいという気もしないので、一つの可能性としてこういうのをやってみるというのは、いいのではないかという気がしていますけれども。むろん実際には、もうちょっと議論とソフィストケート(sophisticate)しないと使い物にならないとは思いますが。

ですから、こういう国になりたいというのを、私は、ある種の、今出た言葉で言えば、ナショナル・インタレストかな。それに当たると思うのです。でも、アメリカの場合は、自分の国がどういう国になるかという話は、もう話が付いていて、国民の間に広いコンセンサスがあって、その上で、外にどう働き掛けるかという話をしているので、ちょっとレベルが違うと思います。日本の場合もそういう話をしたからといって、具体的な政策のレベルで根本的に話が変わるわけではない。例えばアジア太平洋では、多国間の協調的安全保障的な枠組みを一方で発展させつつ、日本、アメリカ+α、−+αは例えばオーストラリアとか韓国がその候補です−+αによる同盟的なもので、パワーを供給するという二本立ての地域秩序構想でいくしかないと思います。そこは変わらないと思います。

しかしその前に、日本はどういう国になるのかというところをはっきりさせないことには、その秩序の中で日本がどういう役割を担うかという話がいつまでたってもふらふらする。日米の役割分担という話にしても、一体何をどうする気なのか。国民にわかるわけはないと思います。一見、何だか軍事的な役割を拡大するように見える議論が行われているけれど、よく聞いてみると、憲法の枠内で従来とあまり変わらないんだということを言う。これ、例えばアメリカ側で何人の人がそれ(日本での議論)を理解しているかというと、Cさん、よくご存じだと思いますけれども多分30人ぐらいでしょうか。

 

C ある人は、8人と言っています。

 

神谷 アーミテージとマイク・グリーン、モチヅキと誰だろう。数え切れるという説があります。

 

 

 

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